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追いこんでモノにする

●10年目に入りましたよ、とあちこちで言うせいか、「メルマガを続ける秘訣は何ですか?」と聞かれる。
そんな時は、「ひたすら今日書くこと。それだけですよ」と禅問答のような答えしかできない。

●たしかに自分でも「よく続いているな」と思う。他のことは何一つと言ってよいほど続いていない訳だから、これは奇跡だ。

『寧静致遠』(ねいせいちえん)という言葉があるが、コツコツとした継続的努力だけが自分を遠くにまで運んでくれる。
私にとって、そのコツコツが唯一できたのがメルマガ発行なのだ。人それぞれに、そのコツコツができる領域がどこかにあると思うので、仮にメルマガやブログが続かなかったからといって自分にダメ出しするのはよそう。

●心から意味を感じることであれば、自然に続くはず。そうやって続けていくうちに、人が真似できない超人的な領域に入っていくことが可能になる。

●「超人的」といえば、最近こんな記事を読んだ。

ある日の中日スポーツのコラム「大山名人の恐ろしいまでの記憶力」から要所を抜粋して紹介したい。筆者は中日ドラゴンズの球団幹部、足木敏郎さん。

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マージャンは私も嫌いではありませんから、チーム付きの頃は頻繁に卓を囲んだものです。今でも忘れられないのは、もう30年以上も前のこと、大山康晴さんとマージャンをしたことです。大山康晴といっても、若い方はピンとこないかもしれません。でも、50歳以上ぐらいの方なら「うそだろう」と思うでしょうね。
永世名人の称号を持つ将棋の世界で押しも押されもせぬトップに君臨した方でした。野球と将棋、舞台は違えど同じ勝負の世界にいるという縁で、浜松キャンプにお招きして講演をお願い。その後、将棋ではなく、マージャンで対戦となったのでした。
マージャンの打ち方自体に、それほど特徴があったとは思いません。
ただし、最初の対戦(いわゆる半チャンですね)が終わった後、私は腰を抜かしそうになりました。
普通なら、各人がそれぞれ、点棒を数えて申告、記録しますね。ところが、大山さんは自らの点数だけでなく、全員の点数も言うのです。
しかも、点棒を数えることは一切なしで。
これで、間違っていたら驚きもしませんが、何回やっても1点たりとも違わない。点棒の動きをすべて記憶していたわけです。何回やっても間違いはなく、正確そのものでした。
こんなこと、少なくとも私にはできません。読者の大半の方も、勝負に熱くなり、自分の手作りで頭がいっぱいとなり、他人の点数まで気が回らないのが普通じゃないでしょうか。
恐ろしいまでの記憶力。大山さんが超一流の勝負師になった一端を見た思いがしました。楽天の野村克也監督は「野球は頭でするもの」と言いますが、抜群の記憶力は将棋でも野球でも、一流になるには必要なものだと痛切に感じています。(中日球団渉外担当補佐)
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●この記事を読んで最初は「なんてすごいんだ」と思ったが、すぐにそんな当たり前の感想をもつことを拒否した。
勝負師やプロにとってそんなことは当たり前なんだ、と考えるようにしたのだ。

●プロ棋士が感想戦で初手から盤面を再生できるのはもちろん、何年前の名人戦第四局で端歩攻めをしのいだ局面を再現せよ、と言われれば当事者ならいとも簡単にそれをやるだろう。

●「覚えておかなければ勝てない」となったら勝負師である限り、自然にそれを覚えるだろう。命がかかっているからだ。
「メルマガを毎日書かなければ失業する」となったら、人は自然に毎日書けるのではないだろうか。

そうやって追いこんだものだけがモノになる。