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野呂社長ご夫妻との二日間

「武沢さん、うちの生涯学習センター兼別荘が北海道の白老(しらおい)にある。空気も水も美味いし、有名な白老牛や、ふんだんに採れる野菜・きのこ、目の前の太平洋でとれる新鮮な魚介類などでバーベキューしませんか。奥さまと一緒にお越しになるといい」

今年の5月、NBC コンサルタンツの野呂社長からそんなありがたいお誘いを頂戴した。「7月17日に札幌でセミナーを開きます」と申しあげると、「だったら15日から札幌入りしてください。二日間、私と家内が白老や室蘭、小樽をご案内しますから」

7月15日(水)13時40分。新千歳空港に到着した。野呂社長の携帯にお電話すると3分後に黒のレクサスが空港前に止まった。野呂社長と奥さまがにこやかに車内から出てこられた。「やあ、ようこそ北海道へ。僕もゆうべこちらに入りました。どうです、最高のお天気でしょ。でも北海道は涼しいでしょ」と野呂社長。たしかに快晴なのに空気がカラッとしていて日差しも柔らかい。これからのひと月が一年で一番過ごしやすい季節らしい。

白老まで車で一時間。途中、野呂社長ご夫妻がお気に入りの店でパンとソフトクリームを買い、錦大沼公園を散策。そのあと駒大苫小牧高校の前を通って白老に入った。白老では道路の両側に「社台ファーム」(競走馬を育成する牧場として日本一のところ)が見えた。白老ではアイヌ村で記念撮影をしたのだが実は、この日の翌々日、ここに熊が出没し、キャンプ場は三日間に渡って閉鎖された。もちろん、このときは熊は出ていない。

食品スーパーでは生きた毛ガニが一杯1,000円で売られていた。「武沢さん、これが札幌に行けば何倍もの値段で売られるんですよ」と野呂社長が笑う。ちなみにこの翌日、小樽で同じサイズの毛ガニが冷凍ながら3,800円で売られていた。それに驚いていたら、札幌空港でそれが6,000円で売られているのを見ることになる。厳密に同じものかどうかは分からないが、産地の安さにはビックリだ。

蛇口から天然温泉が出ることでも有名な白老の別荘地に入った。ある大きな別荘の前を通った。「ここはね、かつて○○氏が所有していたものです」と東京在住の大物政治家の名前があがった。

NBC コンサルタンツの「生涯学習センター」は増築増築を重ねて、今では30人が宿泊できる研修センターである。この別荘地でも一番大きな敷地・建物である。ここは NBC の社内研修で使われるほか、顧問先の会議や研修でも使うことがあるという。ときには野呂社長が本の執筆や新メニューの開発に専念するためにここを利用される。別荘地だけに人や車の気配がほとんどなく、なにかに専念するには最高の環境だ。外へ出れば空気が美味い。また白老の水も美味く、水にうるさい私が水道水をペットボトルに入れて持ち歩いたほどである。

荷ほどきをすませると、「武沢さん、火を起こしてください」とバーベキューの炭に火を入れる仕事を任された。実はこうしたアウトドアライフというのは苦手で、炭起こしもやったことがない。私が戸惑っているのをみて、野呂社長は、「こうしてドライヤーで風を送ってやると簡単に火がつきますよ」と手本を見せてくれた。案外簡単で、楽しくなってきた。野呂社長がいないあいまに調子にのって炭をどんどんほうり込んでいたら「あ、もういいです!」と注意された。どうやら炭を入れすぎたらしい。

ちょうど網に火が通りだしたらころ、奥さまが野菜や肉、魚を山積みにした食材トレイを庭に運び込まれた。その後ろでは、家内もビールやワインを手にしている。「さ、まず乾杯しましょう」と野呂社長の発声で乾杯。グビグビっと一気に飲みほすと、すぐに野呂社長が私に注ぎ足してくださった。私も注ごうとすると「いや、僕はこのあと運転があるのでお茶にします」とビールを辞退された。忙しい方なので今夜もどなたかとアポイントがあるのだろうと思い「お忙しいなか、今日は本当にありがとうございます」と御礼を言った。ところが、野呂社長がお酒を飲まない本当の理由はバーベキューの後かたづけが終わったときに分かった

<明日につづく>