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地方企業が首都圏の優秀人材を採用する

靴の製造と卸売りを営む T 社(愛知県)では従来の客先へのルート営業だけでは業績が頭打ちで、新しい成長戦略が求められていた。社長の娘婿にあたる Y 氏(40)の社長就任後、満を持して通販事業に進出したが、業績は計画を下回り、かえって赤字が拡大して困っていた。

そんなとき、海外進出をサポートする S 事務所の S 社長 と出会った。S 社長は「この靴とこのサンダルはアジアで絶対いける。ただし中国ではなくカンボジアかミャンマーがいいだろう」とアドバイスした。S 先生と一緒に現地視察するうち、訪問した現地デパートのバイヤーが T 社の靴に興味をもった。それをきっかけにアジアビジネスが始まり、最初は徐々に、やがて一気に拡大した。Y 社長ひとりでは海外事業を管理できなくなり、海外経験豊富な35歳の元商社マンを直接求人で採用した。彼の奮闘努力もあって、T 社の 海外事業部はさらに売上げが急伸、ドル箱事業部に育った。今後3年間で3倍の売上げ、5倍の営業利益を見込んでいるそうだ。S 社長との出会いからわずか3年の出来事である。

どこにでもありそうな T 社のような会社。しかしちょっとしたことをきっかけに会社は豹変する。最初のきっかけは海外ビジネスなのか通販ビジネスなのか新製品のヒットなのか、どんなことかは分からない。ただ、間違いのない事実としては、ビジネスを変えるのは、それまでとは異質な人との出会いである。

T 社にとってはS社長との出会いも大きかったが、初めて取り組んだ直接求人に成功したことも大きな要因になっている。T 社は人材データベースに登録している人材から候補者を選ぶサービスを導入した。ところが最初は愛知県限定で人材をさがしていたために選択肢が乏しく難航。そこで対象者を愛知県に限定せず、首都圏にまで拡大した。それが功を奏した。チャンスを求めている人材にとっては、生活の場所が愛知に変わろうが、カンボジアになろうが大した問題ではない。それよりも、どんな会社からどんな仕事を任され、どんな成果を期待されているかが転職の決め手となる。首都圏人材も候補者に加えた結果、あっという間に20人を超える候補者がリストアップされた。

一人一人にスカウトを送り、 SNS の投稿記事や個人ブログ、加えて Y 氏の「スピード感ある人材と仕事をしたい」という希望から、メールのレスポンスの早さも重要な判断基準にした。その結果、先にご紹介した35歳の人材を採用することに成功した。

ビジネスモデルの消費期限はどんどん短くなっている。ビジネスを仕掛け、利益に結びつけることができる人材は地元にいるとは限らない。これからの時代は、地方都市にいながらも首都圏、あるいは全国から候補人材を見つけ、アプローチすべきだろう。そのためには従来と同じ求人媒体にこだわるのは考えものだ。

地方にいながら首都圏人材を直接採用している企業がたくさんある。そうした会社の事例があつまった資料が人材データベースを運営するビズリーチから新たにアップロードされた。こちらのホームページから入手できるので是非読んでみよう。

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