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社長の経営が好きじゃない・・余話

●昨日号の『社長の経営が好きじゃない』にはたくさんのレスがあった。まずは想定外のレスから。

・・・東京のNと申します。
本日のメルマガで出てくる「バイオウォーター」の実名はなんというのでしょうか?子どもが「アトピー」でなんとか治らないものかと悩んでいます。お差し支えなければ名前を教えてください。試してみたいと思います。
・・・

<武沢より>

Nさん、メールありがとうございます。文中に出てくるケースはモデルが特定できないように、あえて地域や社名、業種、商品などはアレンジして書いています。従って昨日号のS社長の長女が特殊な水でアトピーを治したというのも、本当のケースとは若干異なりますので、私からはご紹介できるアトピー関連情報はございません。お役に立てず心苦しいですが、あしからずご了承ください。

●さて、「社長の経営が好きじゃないです」とは言わなかったが、それと同じ理由で会社を辞める社員は結構いるもの。昨日届いた女性読者のメールもそんな内容だった。

・・・
はじめましてAと申します。わたくしはいま、東京でOLをやりながら社長を目指しています。
いまの会社を辞めて、もうすぐ新しい会社で働くこととなりました。
会社をやめる理由は、まさに本日のポイントである「社長の経営が好きじゃない」からであります。
全文読みましたが、とても共感しています。
今回の転職に関して、とても悩みました。理由はいろいろありますが、一言でまとめましたら、「社長の経営が好きじゃない」ことに気付きました。
世間は不況の中、社長を選ぶなんて贅沢すぎだろうか、と自分の中でたくさん考えました。
「社員の犠牲に甘えている」ことや、「ボーナスもないし、給料を上げてくれる見込みもまったくない」など、昨日のメルマガの「W」さんと近い状況でした。
今日の内容を見て、とても心強くなって、自分の選択は間違えていないと確信するようになりました。本当にありがとうございます。
・・・

<武沢より>

社員が社長の経営をチョイスする時代です。つまり社長のたくましいリーダーシップをチョイスするということですね。
優秀な人材ほどその傾向が強いでしょう。Aさんもご自身の選択に自信をもってがんばってください。

●私の主旨とは少し異なる理解をされた方もいる。それはこんな内容だった。

・・・今日の話は、考えさせられる話でした。Wさんの気持ちは痛いほど分かります。書いてあった社長さんの理念とかは共感できますが、社員の家庭環境までよく共有できていないと、メルマガのような悲劇になるんですね。。。

私は来年4月にアジアのある国専門の貿易商社をSOHOで作る予定ですが、社員(アルバイト)が出来たら、その方の家庭環境などを常日頃から聞いて、どのようなことに社員が迷っているか、を常に考えて行こうと思っています。では、失礼します。
・・・

<武沢より>
念のために申し上げると、社員の家庭環境などをすべて理解しろというのが昨日号の主旨ではありません。それだけでは50点か、それ以下かもしれません。
それ以上に大切なことは、明るい希望を創りつづけるのが社長の仕事だということです。社員からみて魅力を感じる未来が必要なのです。

今よりももっと明るく楽しい将来像を青写真にして社員に提示し、社員がそれに乗るのです。もちろん、青写真を作るプロセスに社員も参加させてあげればより良いものが作れるでしょう。
しかし、青写真の最終とりまとめは社長の決定であることに変わりはありません。

●さて、昨日と今日は「青写真」という言葉を使ってきたが、それがいわゆる「経営計画書」のことである。

「経営理念」をベースにすえて、理念を実現していくための「戦略課題」をあきらかにし、数字付き・期限付きの「行動計画」に落とし込む。それらがひとつに製本されたものが「経営計画書」なのだ。

●「経営計画書」といえば、私は先週、MY法経営計画合宿に参加して幾つかの新しいインスピレーションを得てきた。その中から今日は二つのことをご紹介したい。

その一つは、「数字は納得ゆくまで何回も作り直すこと」である。
「面倒くさいからこれでいいや」という妥協は大敵である。計画段階の妥協と手抜きは経営にとって最大の敵かもしれない。妥協で完成した「経営計画」なんて本気になれるわけがない。

●それについて、こんなことがあった。

今回の二泊三日の合宿の初日は数字固め。朝10時から夜10時まで、12時間かけて過去4年分の実績と今後5年分の目標数値をまとめて作ってしまう。損益と貸借を両方まとめて作るので、大変根気が必要な作業である。

しかし、作り方の要諦を知ってしまえば、あとはひとつひとつのテーマに慎重に意志決定して数字を決めていく。

「ふ~、出来た。よし、これで行こう!」と数字を固め終わる。

●最後にそれを月別損益計画に落とし込み、キャッシュフロー見通しの表を完成させ、プリントアウトして製本しておしまい。
もう夜も22時を回ったので、初日はここまで。
自室に戻って缶ビールを明け、ベッドの上に腰かけて作った数表を確認する。

●その段階で、「どうもつまらない」と思えてしまった。利益を出して税金を払って銀行に返済したら、一年後、キャッシュは大して増えていない。
「なんだこれ、税務署と銀行のために仕事をしているだけだ」と思い、この2009年という年の意味が感じられなかった。

「でも今さらどうしよう」と呆然とする私。初年度の数字を変えるということは、今日12時間かけてやってきた作業の大半が無駄になる。
とにかく、ビールを飲み干して明日に備えて眠ることにした。

●夢の中で私は数字を作り直す作業をしていたのだ。
「やっぱり作り直そう」と、翌朝、講師の松村先生にお願いしてみた。

すると松村先生は、
「どうぞ武沢さんのペースでおやり下さい。必ずしもこの会議室にいる必要もありませんし、お好きなところでお好きな作業をなさって下さい。もし不明な点が出たらいつでも私を呼んでください」と言っていただけた。

●それからの数時間、とことん納得のゆく数字を固め上げた。
だから、その数字は思い入れが大変強く、千円単位でそらんじることができる。
この↓表の中に、今でも何も見ずに数字を入れることができるのだ。
あなたも入れてみてほしい。
今期計画はプラスマイナス5%、5年後は10%までなら許容範囲といえるだろう。

今期計画          5年後計画
・売上高       円              円
・粗利益       円(  %)         円(  %)
・固定費       円              円
・営業利益      円              円
・経常利益      円              円

●もう一つの気づきは、大瀧式経営計画バインダーとの出会いである。
東北は山形県鶴岡市から今回の合宿に参加された株式会社山形ハーネスの大瀧郁夫社長は、過去5年分の経営計画書を一冊に綴じたものを持参されていた。

なるほど、おもしろい。毎年の経営の歩みがその一冊に詰まっているわけで、写真に撮らせていただいた。こんな感じのものである。↓
3/6 なるほど、こうすればいいんだ!

★山形ハーネス http://www.yharness.com

●大瀧社長のように、意思さえあれば、何才になっても経営力は年々上達するものである。
若くしてビジネスセンスに富んだ人でも経営の勉強をしない人は上達しない。むしろ加齢に応じて劣化・陳腐化することの方が多いのが経営力というもの。

だから、この大瀧式バインダーには意味がある。我が経営の歩みを一冊にして内容を確認することで、経営力向上の教材になるのだ。

今日はここまでにする。

長文にも関わらずご精読、ありがとうございました。