●昨夜、「こいつは春から縁起がいいや」と思うできごとがあった。
韓国代表チームの4回ウラの攻撃を無得点に抑え、巨人のイ・スンヨプ選手がベンチに戻ってくる。ベンチに入る直前、手にしていたボールを観客の方に放り投げた。と思ったら、そのボールは私の頭上に来た。
スッと右腕を真上に伸ばしキャッチした。
しかもこの試合は、イ選手の活躍で巨人が韓国代表チームに勝った。
まさしく昨日のヒーローからウイニングボールをもらったわけだ。
●その勢いを持ち込んで今日から三日間、マンダラ経営計画合宿にやってきた。今、会場のホテル(晴海)でこっそりこの原稿を書いているが、メールチェックをしてみたら、大口の仕事の注文が入っていた。
運気を味方にしていれば、自分の周囲に不況ムードなどまるで近寄ってこない。
●でもそれは心構えの問題。現実問題として不況のせいで売上が減っている場合はどうするか。
松下幸之助は、昭和初期に起きた”昭和恐慌”(世界金融恐慌)を経験し、第二次世界大戦の混乱をくぐり抜け、”昭和40年不況”もくぐり抜けてきた。
じっと耐えただけではない。果敢に攻めて業界のどの会社よりも早く立ち直らせてきた。
●そんな彼が「好景気もよろしいが、不景気はさらにいい」と言う。
松下が語る不況克服の智恵、今日は2月26日号に続いて第六話からお届けしたい。
『がんばれ社長!今日のポイント』2009年2月26日号↓
http://www.e-comon.co.jp/magazine_show.php?magid=2615
・第六話「腹を決めて臨む」
こんな国内総赤字という時代はかつてなかった。どうも最近、松下もおもわしくない。それで、それぞれの責任者を呼んで躍起になっていろいろやっているが、
私は腹を決めている。
「損しなかったらいい。黒字と赤字のすれすれまではじっと我慢する。いざとなれば、10年間は儲かってきたのだから、その蓄積の2割や3割食いつぶしてもい
い」と社員には言わないが自分ではそう思っている。(ここでそんな話しをしていては仕様がないが(笑))
非論理的な頼りない話をするようだが、そうとでもせにゃ、救いがない。雨が降れば傘をさすが、傘をさしても身体は濡れる。とくに今日のような大暴風雨だっ
たらたくさん濡れる。そう腹をくくって度胸を据えれば晩ご飯もうまいし、人にも怒らずにすむ。そう自分に言い聞かせているが、皆さんはいかがだろうか。
(昭和50年10月8日 大阪商工会議所月例会員講演会 幸之助83才)
・第七話「経営者の信念こそ」
私も金を出すが諸君も金を出せ、ということを最後には言おうと思う。銀行が金を貸さなくても従業員が千人いれば、ひとり一万円で一千万円集まる。誰も出さ
ないかもしれないが、社員は出すもんだという信念が経営者になければならない。
しかも無利子でも出させる信念が僕にはある。世の中のためにやっているんだから、諸君らもその片棒を担げと言っている。
組合は景気がいいときには賃上げだ、なんだと要求するのだから、会社が苦しいときには組合に協力させるのが当然。
今は志ある経営者にとって本当におもしろい時代。この不況におびえているようじゃだめだ。不況時こそ、経営者の信念が問われるときである。
(昭和51年1月14日 生産性本部新春経営者会議 幸之助84才)
・第八話「戦の中での商売よりも」
今日の商売をどうするかということは、心配要らないんであります。
景気・不景気の転換点の一コマであるに過ぎない。
そんなことで心配して夜も寝られんなんてことであってはならない。
むかし、戦乱のちまたに流れ弾にあたって死ぬかもしれない時代にも立派に商売をやってきた商人たちがいる。
味方にも他国にも売って商売をしてきた。経済人は戦争時においても命をかけて商売をするものだ。それが商売の歴史。
幸い、今日は流れ弾に当たる心配はないし、先人のことを思うと、今日はきわめて安易な情勢である。
今の日本は国難とか経済危機とかいうが、非常に安楽な情勢ではないか。まずは、そうした覚悟をもち、社内に直すべきことが随所にあるので、それらを着々と
直していけば、やがてこの難関は楽々と切り抜けていくことができると私は思う。
(昭和49年7月22日 日本経営開発協会 幸之助82才)
・第九話「治に居て乱を忘れず」
10年も平和が続くと治にいて乱を忘れてしまうもの。すると内部に脆弱性が生まれてくる。経営者には絶えず心構えに緊張が必要だ。
もちろん平和を楽しむことは大切だがそれに慣れ、酔いしれてしまうと太平になれた平家が水鳥の羽音に驚いて敗走したように、乱世がくるといたずらに狼狽す
る。
治にいて乱を忘れないリーダーになるためには、今日のような不況に直面して苦心することが最高の良薬である。
(昭和39年7月24日 松下電器名古屋営業所社員懇談会 幸之助72才)
・第十話「不況に伸びる会社」
世の中が不況になって仕事が減ってくるとかえって伸びる会社がある。
(この当時の)竹中 藤右衛門(※)さん率いる竹中工務店もそんな会社である。
不景気になると、買う側も注文先を選別するようになるからで、商品が吟味され、会社が吟味され、経営者が吟味され、社員が吟味される。好景気よし、不景気
さらに良しという状態を作っていくのが経営であり、それは終始一貫して経営の勉強を欠かさなぬ結果の賜だと思うんであります。
(昭和36年10月23日 松下電器総合朝礼 幸之助69才)
※竹中 藤右衛門 たけなか とうえもん(1877~1965)
作品第一主義で建築界の発展に尽くす。「最大たるより、最良たれ」と、新しい建築方法の開発・導入に注力し、「技術の竹中」を確立した。愛知県出身。
●さて、このように松下幸之助が不況について語ったエッセンスがCDになって氏の本家PHPから発売になった。「がんばれ社長!通販」サイトでも、この数日間ですでに30セット以上売れている今もっとも注目の商品。
『松下幸之助に学ぶ 不況克服の知恵』(PHP研究所)。音声CD二枚、内一枚は松下さんの肉声。48ページの冊子一冊。(5,250円、税込)
→ http://ganbare.pk.shopserve.jp/SHOP/PHP001.html
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<PHPさんより おしらせ>
「不況に打ち克つ心構えとヒント」と題して、PHPさん主催の緊急企画講演会があります。
PHP研究所の江口克彦社長と、ドリームインキュベータ 堀 紘一会長のダブル講演です。おすすめします!
・3月10日(火) 東京
「不況に打ち克つ!~心構えとヒント~」
講演1.松下幸之助に学ぶ不況克服の心得(約90分)
講師:江口克彦 PHP総合研究所社長
講演2.世界連鎖恐慌に打ち克つ知恵(約90分)
講師:堀 紘一氏 ドリームインキュベータ会長
・詳しい内容とお申し込みは こちらから↓
http://www.php.co.jp/shain/hint/