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日本商人

●2月16日付、日刊工業新聞に「中国ビジネスの行方 キーパーソンに聞く その4」として、太陽商事筒井修社長の談話が紹介されていた。
筒井修社長はご存知、世界和僑会(香港本部)の創設者であり、会長でもある。

●そういえば昨年末、香港シャングリラホテルで行われたこのインタビューに私も同席していたのを思い出した。
一時間強に及ぶ取材(しかも録音なし)のエキスが鮮やかな記事にまとまっている。

●すでにこの記事をお読みになった方も多いと思うが、ここにあらためて、斉藤真由美記者の歯切れある文章とともに筒井会長の発言の骨子を味わっていただきたい。

(以下、記事の一部を抜粋)

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-香港の魅力とは。

「大変しぶとい。香港は浮き沈みが激しいが、どんなに大きな波があっても耐え、次の波に対応できるようにうまく変わっていく力がある。日本は組織が動かないと動けないが、香港は個人が大富豪にもなれるチャンスがある実力社会、資本主義の原点みたいな所だ」

「香港人は自己主張がはっきりしている。政策を批判する前に、嫌なら香港を捨てて出て行く。香港返還の時もそうだった。いざという時のリスクへッジとしてグリーンカードをとって、カナダやオーストラリアなどにこぞって移民した。いまの香港の財閥は、逆に暴落した土地を買いまくって功をなした」

-金融センターとしての香港の地位は、今後も不動か。

「上海は香港になりえない。人の質も税制などのインフラも香港ほど経済自由度がない。中国が共産主義をやめない限り上海が香港にとって代わることはない」

-長年の中国ビジネスの経験から得た教訓は。

「中国人は日本人と顔形は似ていても、全く違う人種。相手の国、つまり国の制度や中国人のものの考え方を徹底的によく知ることだ。中国人のパートナーを探す時、中国人が100人いたら、99人は自分のビジネスのことしか考えていない。相手のことも考えることができる一人と徹底的につきあうことだ」

-中小企業は信頼できるパートナーを探すことが難しい。

「中国にいきなり出て行って見つけるのは無理。和僑会を利用すればいい。難しい代金の回収も任せることができる」

-和僑会とは。

「世界に散らばって助け合う“華僑”にならい名付けた。日本の中小企業もグローバルな視野をもって“和僑”となって海外に出て行き、結束したらいい。中国人も韓国人も、ユダヤ人もインド人もみんなネットワークを持っている。持たないのは日本人だけ。事業は一人ではできない。中小企業こそネットワークが必要。和の精神のある日本人こそ、強いネットワークが築けるはずだ」

-現在の規模は。

「香港の和僑会は会員が約400人。すでにシンセン、上海、シンガポール、台湾、モンゴル、ベトナムなどにも和僑会ができた。10年後には、世界中に和僑会のネットワークを作りたい」

<記者の目>・・ビジネス指南役“和僑会”に注目

筒井氏が香港に赴任したのは84年、香港の返還が話し合われ、香港の株価が大暴落した最悪の時期だった。前任者は「やっと日本に帰れる」と喜んだのに対し、中国に興味があった同氏は志願し「うきうきして香港に来た」という。
香港名鉄の撤退が決まった時も役員に直談判して会社と事業を買い取り、香港に残る道をとった。香港和僑会には同氏のような中国ビジネスの指南役が多数いる。和僑会の広がりに注目したい。(斎藤真由美)

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●もちろん香港やシンセン、マカオなどの和僑会会員企業にだって世界同時不況の影響が直撃している。
売上が半分になった会社や、三ヶ月で億単位の損失を出した個人事業者もいると聞く。

●だが彼らは将来を悲観したり、政治家の悪口を言ったりなんかしない。
政治に不満があるのなら政治の良い国へ本社を移すだけのことである。
どこにどんなビジネスチャンスがあるのか、それだけを虎視眈々と狙っている。

●本業の売上が大幅に減った今、彼らには時間の余裕ができた。
「好機到来!」とばかりに、いままで暖めてきていた新規ビジネスを始める経営者も多い。

●昔、大阪・近江・伊勢は日本三大商人の街と言われ大いに栄えた。

高度な複式簿記を駆使し、日本中に張りめぐらせた独自のネットワークを使って人と物を動かし、巨富を得た。
あまりに上手に利益をあげるので、江戸っ子からねたまれるほどであったという。

●人と情報が集まるところに利益が生まれる。インターネットが世界に普及した今でも、デジタルとアナログ双方のネットワークがものを言う。
大阪商人、近江商人、伊勢商人ならぬ、「日本商人」を復興させることが和僑会の目的なのだと私は理解している。

★香港和僑会HP http://www.wa-kyo.com/