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床屋の二人

●今朝、出社するまえに床屋へ行ったら、すでに二人の先客が頭をカットしてもらっていた。私は彼らの間の席につき、何げなく二人の顔を見てビックリした。
二人とも私と同世代かちょっと上程度だろうか、まだ朝だというのに、すっかり疲れ切った表情をしているのだ。
目が活きていない。目ヂカラがまったくないのだ。それに、眉間や目の下には、深い深いしわが刻みこまれていた。

●「彼らはいったいどうしてしまったんだ」

なぜこんな表情をしているのだろうか、私は自分の頭を刈ってもらいながら、彼らのことをあれこれ考えてみることにした。

●まずこの床屋の料金は4,200円である。
今でこそ相場の範囲だが、昔からここは、値段が高い店だった。私が知る限り、少なくとも10年は価格を据えおいているはずだ。
そんな高めの床屋に朝の8時半に来ているお客なのだから、経済弱者ではない。きっと経営者か自営業者、専門家といった人たちだろう。

ではなぜこんなにぐったりしているか。

●彼らの疲れの原因その1. 肉体の蓄積疲労

中高年になれば肉体の疲れは貯まってくる。若いときにくらべて疲れやすくなるし、疲れが抜けにくくもなる。
そんなことは当たり前なのだから、身体を鍛えて疲れにくくすれば良いし、本当に疲れているのなら、しばらくぐっすり休めばよいと思うのだ。彼らの立場ならそれができるはずだ。

●彼らの疲れの原因その2. 心の蓄積疲労

仕事が自分の一存では決められないサラリーマンの立場なら、気苦労も多かろう。

会社では上司や客先に気をつかい、さらには勢いのある後輩にも尻をつつかれ、家に帰るとかみさんや子どもに相手にされない。どこに行っても心が休まる場所がない。
昔だったら接待もかねて夜のネオン街でホステスさんたちに癒してもらったが、経費が使えなくなった今、そんな場所に行けない。

●サラリーマン諸氏がこうした悲哀を感じるのは理解できるが、床屋に来ていた彼らは経営者である。(そう仮定する)
経営者とは、すべてのことを自分で決められる立場のはずだ。そんな彼らがなぜ心の疲労をため込むのか・・・。

そこでピーンときたのが今朝の「めざましテレビ」の内容。

●「草食男子」が増えているというのだ。

ウィキペディアの定義では、恋愛やセックスに「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、「肉」欲に淡々としているのが草食男子だという。

・食が細く、やせている
・ファッションに興味がある
・スイーツが大好き
・エコに関心がある
・親と仲がよい
・恋愛では受け身に回ることを希望する

と言った特徴が草食男子にはあるとか。

●なぜそうした草食動物のように優しく弱い男子が増えてきたかというと、そうした男子が今、女子からもてるからだという。
男子が草食化するのに対して、女子の方はガツガツと肉に食らいつく肉食動物化してきているようで、攻撃型女子が増えているのだとか。
だから男子は物足りないくらいがちょうど良いのだろう。

●その反対に、女性が好む女性は、篤姫のように強くてたくましい女性だそうだ。

だがこれは笑い事ではない。大変危険なことでもある。そんな若いカップルが一緒になったとしたら「かかあ天下」間違いなし。

●尻に敷かれて良い仕事をする男子もいるが、昔から、「雌鳥歌えば家滅ぶ」と言われるように、女性が力を持ちすぎると良くないとされる。
それは単純に「女は黙っていろ」という類の教訓ではなく、女性が男以上に力を持とうとすると、相対的に男が弱くなるから注意せよ、という警告なのである。

●私のみるところ、草食男子ならぬ「草食社長」も増えているように思う。

草食社長の共通点は、

・後継社長である(創業者ではない)
・大きな夢や理想がない、作れない
・奥さんに頭が上がらない
・子ども、又は親、又は両方とうまく行っていない
・社員との関係がうまく行っていない
・業績が低迷し、打開策が見つかっていない
・肉体のどこかに持病かコンプレックスがある
・仕事でこれという成果をあげたことがなく、自分に自信がない
・ネオン街に繰り出す余裕(気持ちとお金と時間)がない

こんな人が60才近くになると、今朝の床屋のおじさんたちのようになる。

●まずは何かひとつ風穴をあけよう。

本来もっていた雄々しさを取り戻すのだ。それには、朝の目覚めが良くなるようなことを始めよう。

身体を鍛えるでもよいし、誰かと熱烈な恋愛をするでもよい。熱中できる趣味を持つのもよいし、時間を作って長旅にでるのもよい。書斎をもつとか隠れ家を持つのも良いだろう。

思い当たる方は今日からでも大丈夫、草食から肉食へと我が体質を変えていくのだ。