●「天城越え」(石川さゆり)や「河内おとこ節」(中村美律子)、「道頓堀人情」(天童よしみ)などが入ったiPodを持ち歩いているようではオジサン丸出しだと自分勝手に思っていた。
だが、今はもうそんなことは思わない。
マリナーズのイチロー選手が石川さゆりのステージチケットをインターネットで買い求めて見に行くのと同じ理由で、私も石川さゆりの曲が好きだ。
存在感バツグンのプロのステージに圧倒されるし、iPodの曲からそのステージを思い出すと、テンションがグーンと上がる。
イチロー選手は昨シーズン、二度目のバッターボックスに入るときに「天城超え」をテーマ曲にしたそうだ。
★イチローと石川さゆり
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/mlb/text/20/200808120007-spnavi.html
●もちろん私のiPodは演歌だけではない。
落語も津軽三味線も入っているし、最近の歌手では、木村カエラや青山テルマ、アンジェラ・アキ、絢香、湘南乃風、ケツメイシ、ミスチル、B’Z、GReeeeNなども入っていて、それぞれカッコイイと思う。
だが、演歌にある深みと味わいは格別で捨てがたい。
●流行の歌がまるで消費されるように流行っては消え、流行っては消え、していく。だが演歌は流行歌ほどは消費されない。むしろ長く歌うほどに光沢が出てくる曲が演歌には多い。
●芸というのはそういうもので、津軽三味線の名人・高橋竹山はこのように語っている。
「とりわけ速い曲は楽だから、あんなものばかりを弾いているといずれ津軽三味線の魂がどこにあるのか見えなくなっていく。実は津軽三味線は、音への思いが一途にあれば誰だって入っていけるはず。ただ、そのためには一曲を何度も弾くことだ。何曲もおぼえたとか、たくさん弾けるとかということを誇りなさんな。三味線の奥の奥にある静かな鳴りや深いものに向かわなきゃいけない。もっというなら、「型」に色や匂いを感じ、それが音色に出るのが津軽三味線だと思えなきゃ、これは津軽三味線だって廃ります」
●音楽は消耗品じゃない。ひとつの曲を何回も何回も歌ってほしい。
ちなみに石川さゆりが「天城越え」を初めて歌ったのは1986年、今から23年前のことである。
あなたにとって「一曲を何度も弾くこと」(高橋竹山)に当てはまることは何だろうか?