世間一般では、もし~だっタラ、もし~レバ、は非生産的な言葉として使っても意味のない言葉、使ってはならない言葉として扱われている。だが、それは常識的な話。あえて非常識と思えるような考え方で経営を行っている所のほうが何かと魅力的で内容も良いようだ。そんな会社のひとつ、H製作所の女性社長H氏がお気に入りの言葉、それが『タラレバ』なのだ。
H氏:「武沢さん、私の好きな『タラレバ』って言葉は、思考を刺激してくれる数少ない単語だと思うのです。どうして多くの人は、この単語を嫌っておられるのか、私には分からない。」
武沢:「そうですか?例えば営業マンが目標未達の言い訳として、もしお天気さえ良かっタラ、とか、あのトラブルがなけレバ、 などと言いますよね。それってやっぱり禁句と言えるのではないですか。」
H氏:「えっ、どうして? もしお天気さえ良かっタラどんな結果が出ていたかを考えるのも訓練の一つで立派なことじゃないの かしら。さらには来月、もし雨ばかりが続いたとしたら、どんなことになるのか?また、そんな状況でも計画を達成する にはどうしたら良いのかを考えることって、とっても大切な思考シミュレーションだと思うのですが、私間違っています か。」
武沢:「・・・。なるほど、一理ありますね。」
H氏:「一理ぐらいでしょうか?よそ様はよそ様、うちはうちで結構じゃないかと思うのですが、『タラレバ』は社是か社訓にし ようかと思うほど大切な言葉。あ、そうそう、我社の伝統みたいなもののひとつに、飲み会での『タラレバタイム』とい うのがあるのですよ。」
武沢:「タラレバタイム?」
H氏:「ええ、そうです。例えばこんな感じで誰かがお題を出すのです。・・・もし、世の中にテレビがなかったら私たちの生活 はどのように変わっているか?・・・っていうようなお題。
このテレビのお題は実際に昨日の飲み会で出て、いろんな意見が出ましたがすごく楽しいですよ。驚くような気づきもありま すしおすすめですよ。この前のお題は、もし世界中の人たちが共通の言語で会話できるようになったら、世の中どう変わる か?っていうの。どう、仲間に入ってみたくなるでしょ。」
武沢:「はい、楽しそうですね。」
ちょっとまとめてみよう。
プラン→ドゥ→チェック
という管理サイクルの中で、企業格差が一番出やすい部分はチェックではないだろうか。目標と実績との間には必ず誤差がある。それを埋めるためにはどうしたら良いかを考える作業が「チェック」である。チェックの段階では、現場から事実だけを集め、問題の特定と分析を行い、仮説に基づいて対策を打っていくことが求められる。仮説をたてるときに、『タラレバ』訓練で培われた自由で柔軟な発想が生きるのかも知れない。
飲み会での『タラレバタイム』、どなたか実験してみて下さい。