先日お会いした人材派遣会社最大手の飛び込み営業マンはすご腕だった。一度は「興味がない」と断った私に対して、やんわりと食い下がり、結局翌週には派遣人材の面接までにこぎつけた。あいにく今回は、彼のビジネスにならなかったが、その商談話法は真綿でくるんでそっと押し被せてくるような優しさと迫力があった。私の心の中をすべて読んでいるかのように、適切なタイミングで適切な言葉が出てくるのには舌を巻いた。
さて、あなたの会社では、営業マンが顧客の前でどのような商談をしているか把握しておられるだろうか。電話のかけ方などはオフィスにいても見聞きできるが、商談の中味については本人任せのところが多い。しかも商談を標準化・マニュアル化していない会社では、売れている営業マンの商談は本人のみぞ知る丸秘テクニックとなっている。それではあまりにもったいない。その逆に、売れていない営業マンはなぜ売れないのか誰も分からない。正解は、商談現場に転がっていることが少なくない。
売れている営業マンの商談スタイルをじっくり見ていくと、いくつかの共通項がみつかる。そうしたものをご紹介しながら、商談を科学してみたい。
「商談とは説得の芸術」という言葉があるが、与えられた商談時間をリードし、マネジメントする役割は営業マンが負うべきだ。それでこそプロだ。新規の面談を例にとり、初回の面談で契約までこぎつけるケースを想定しよう。その中味は次のようになる。
商談の時間を分解してみると、次の5つのパートから成り立つことがわかる。そして各々において、その目的は異なる。
(1)オープニング
(2)インタビュー
(3)商品説明
(4)クロージングと反論処理
(5)契約と紹介獲得
(1)オープニングとは
名刺交換や自己紹介をしたあと、手短に今日の主旨や会社の概要、あなたの自己紹介をする時間。同時に、相手の企業や業界についての一般的な情報を入手する段階。この段階のやりとりである程度、お互いの値踏みが始まっている。あなたはこの時間おいて、見込客に何かの期待を持たせることが出来れば成功である。これは、第一印象を与える時間でもあり、最もテンションの高さが求められるパートでもある。見込客のオフィスに入る前には、顔面を張りたたいてピンクの顔でオープニングに臨もう。
<時間切れだ、残念。明日につづく>