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間接的リーダーシップ

「がんばれ社長!」00年8月17号で、「将の将たる器」と題してトップの器量について申し上げた。

1.兵たる器・・・・・一兵卒として活躍すること
2.兵の将たる器・・・兵卒を指揮して活躍すること
3.将の将たる器・・・将を指揮して活躍すること

の三種類の方法があり、社長としては三番目を目指したいものであるというのが、この日のメッセージであった。詳しくはこちらのバックナンバーを参照していただきたい。
http://www.e-comon.co.jp/000817.htm

さて、今日も同じ主旨であるがすこし視点を変えてお伝えしよう。

組織の長としてリーダーシップを発揮する方法には二種類の方法がある。
自らが現場の第一線に立って陣頭指揮をとるリーダーシップ、これを「直接的リーダーシップ」とよぶ。上記の「兵の将たる器」が求められる段階だ。
もうひとつのリーダーシップ、それは「間接的リーダーシップ」である。部下に権限と責任を委ね、部下である責任者を通して組織の目的を実現しようというものである。上記の「将の将たる器」が必要になる。
大きな組織を運営していくためには、あなたの間接的リーダーシップの発揮が問われることになるのだが、これは、直接的なそれよりも難易度が高い。

間接的リーダーシップがなぜ難しいのかを考えてみよう。この問いかけに答えることは、権限委譲がなぜ進まないか、なぜ部下に仕事を任せられないか、を考えるのと同じ意味がある。

権限委譲をあまりしたことのない経営者が心のなかでつぶやいていること、それは、
・「あいつに仕事を任せてみたが、本当に大丈夫だろうか?」
・「任せるべき相手を間違えたかな?」
・「自分でやったほうが間違いないし、早い。何であいつはあんなに遅いし、間違いが多いのだ?」

などの葛藤だ。

妙な組織構造を作ってストレスを抱えるよりは、社長がいつも現場第一線にいて、部下を陣頭指揮する方が、ストレスがなくて幸せだ。「1+1は幾つか?」と聞かれたときには、「2」と即答してやればそれで済む。「今何時?」と聞かれれば、「午前9時」と答えれば良いのである。そっちのほうが簡単で気持ちいい。

加減乗除の計算式の解き方を教えることや、時計を作ってその見方を教えることは大変なのである。

だが、その大変なところを突破できるかどうかが勝負所でもあるのだ。

いつまでも、自らが「2」とか「9時」とか答えているようでは、まだ組織とは言えないのである。あなた一代限りのビジネスならそれも悪くないが、できるものならもっと上を目指したいもの。つまり、将の将たる器をもち、間接的リーダーシップを発揮するのである。

そのためには、部下の誰が考えても「1+1=2」や「今は午前9時」となるような教育や原則づくり、社内システム開発や方針づくりなどがあなたに求められる。そうすることが間接的リーダーシップの発揮につながるのである。自らに対して、本質的で根本的なテーマ設定がいつも必要になるのだ。

<次号につづく>