★テーマ別★

酉の市


●ラッシュアワーのように多数の人が行き交う往来に向かって大きな声がよく通る。

「皆さま、お手を拝借いたします。ヨーッ、パパパン、パパパン、パパパンパン、パパパン、パパパン、パパパンパン。またまた福だ、パパパン、パパパン、パパパンパン、パパパン、パパパン、パパパンパン。おめでとうございま~す!」

と、手渡される熊手の木札には、墨痕あざやかに「がんばれ社長!」と書いてある。こいつは春から縁起がいいや。

●昨日は浅草「酉の市」(とりのいち)。

鷲妙見大菩薩(わしみょうけんだいぼさつ、通称「おとりさま」)が毎年11月の酉の日に表れることから、その日をご開帳日とした江戸時代から続く浅草の祭り。

ものすごい数の人が訪れる。

11月の酉の日に行われ、今年は「三の酉」まで三回行われる。
次回は11月29日(土)にあるので、未経験の方は是非足を運んで欲しいし、縁起物の熊手を買って来年に勢いをつけよう。

★浅草酉の市 http://www.torinoichi.jp/index.htm
★ウィキペディア「酉の市」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%89%E5%B8%82

●私は昨日が初参加だったが、この日、この場所に行くだけで運がもらえそうで、これから毎年行くと決めた。

元旦の初詣の厳粛な雰囲気とはまるで違う。周囲のどこを見ても熊手、熊手、熊手、熊手、熊手、熊手・・・。

境内には東西南北に3×3の9マス状に通りがあり、その両側はすべて熊手の屋台。大半が手作りで、高価なものは100万円する。
お土産用に1000円くらいのものから、ちゃんとしたものになると、個人だと1万円程度、企業だと5万円程度のものが売れ筋のようだ。

●職人さんが腕によりをかけて作った熊手は、七福神や大入り袋、真鯛、大鳥居、松竹梅、米俵、千両箱、招き猫、お多福などなど、ありとあらゆる縁起物をあしらってある。当然お店によってデザインが異なる。

★フリッカー「浅草酉の市」 http://www.flickr.com/photos/32073575@N02/

●お参りをする前でも後でもよいので必ず熊手を買う。

お店が何百軒もあって、どこで買おうか迷うが、縁起物だからお店が明るくてお客がたくさん集まっている威勢の良い店で買おう。
福相をもったベテラン職人さんが店頭に居るお店だとなお良い。

私は「大黒」の本店で買った。支店もあちらこちらにあるようだ。

●熊手を買ったら、それを掲げながら周囲の福をかき集めながら歩く。
熊手を買うとお店で手締めをやってくれるのだが、それが冒頭に紹介したくだり。

●お参りのあとはのんびりと浅草寺まで20分ほど散歩。閉店後の仲見世を通りながら神谷バーでデンキブランをあおる。

熊手を脇のイスに置いておいたら、神谷バーの店員さんもお客さんも注目する。
大学生らしき男性グループが「がんばれ社長!って書いてあるぞ」とひそひそ話し、主婦とおぼしき女性は私に向かって「この熊手はお幾らしましたか?」と聞いてきた。

●遠慮がちの人は熊手を買えないかもしれない。

熊手には値札が付いていない。全部値段交渉するのだ。もちろん相場は決まっていて、ふっかけてくるようなお店はない。
気に入った熊手に出会ったら、店員さんとこちらとの気合いで交渉。
その段階で1割や2割は値が変わる。このプロセスも祭りの楽しみなのだ。

粋な客は値切った分の半分(または全部)をご祝儀として店に置いてくる。それが気っ風のいい客の「開運買い物術」だ。

私は1.5万のものを1.3万円に値切り、千円だけご祝儀に渡してきた。
来年が良い年になれば、また同じ店で買う。今度は大きなものを買う。

やがて、景気よくスパッと10万、30万、50万のものを買えるようになれば、福の神があなたの追っかけになってくれている証拠だ。