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不況こそ出番

●先週お会いした社長が、「武沢さん、今のうちにたくさん借金をしておきます」という。
理由をたずねると、年末以降はどんどん景気が悪くなるからだという。

彼曰く、米国発の金融不安から始まって国内外の政情不安、中国経済の停滞などなど、景気がよくなる要素はなにもない。だから悪くなる一方だという。ひょっとしたら戦後最悪かもしれない、とまで言う。

●たしかに経済のファンダメンタル(基礎的事項)や実体経済は、彼が言うとおりになるかもしれない。学者の予測もネガティブなものが多い。

●だが、「だからうちの会社も伸びなくなる」と決めたのは、その社長だ。うちも伸びない、悪くなるという社長の意志決定がそこにあることに気づかねばならない。

●うちの会社も業績が伸びなくなるから、資金繰りが悪化する前にお金を借りておこうという発想はその会社固有の戦略であって、それしか方法がないとは言わせない。他にも無数の選択肢がある。

●景気が悪化すれば、今まで通りに経営していてはうまくいかなくなるのは当然だが、やり方を変えてまったく新しい需要を創造していくのが事業家の志や気概というものではなかろうか。

●経営者は防戦一方ではダメである。不況を恐れて戦々恐々とするなど論外であろう。
ガードを固めつつも反攻に打って出るプランを幾つも用意しておくのが社長の仕事だ。

●そもそも真の経営者は、在任期間中も退任後もずっと増収増益を遂げる人がプロ中のプロだと思う。
過去30年も50年も増収増益をしてきた会社がいくつもあるということを覚えておこう。

●100社中90社以上が冒頭の社長のように考え、行動する。
だが100社中10社は、手を変え品を変えて成長の絵を描く。志があるからだ。

景気が悪くなるときこそ光り輝く本物の社長になろう。