次のような人々に今日のマガジンは役に立つと思う。
・忙しくてなかなか経営計画を作っている時間がとれなくて・・・
・重要事項にとりかかれないよ、その前の緊急事項が多すぎて・・・
・本を書きたいのだが時間が・・・
・サイトをリニューアルをしたいのだがそんな時間がどこにあるの
・・・etc.
『創造の原理』という本がある。日本経営合理化協会出版局から発刊されているもので、著者の上原春男氏は、エネルギー工学の世界的権威だ。普段読み慣れているビジネス書の著者とは、まるで異なる視点が新鮮だ。
http://www.jmca.net/books/souzou/m2/index.html
筆者自身によって、この本の執筆裏話が本書で公開されている。そこがなかなか興味深いものだ。
この本は450ページを超える大作であり、おおよそ400字詰めの原稿用紙で千枚必要だという。筆者は、それだけの原稿をどのように書き上げたと想像されるだろうか。
作家と呼ばれる人が一ヶ月に書く原稿の量は、多くて300枚、それ以上の人は滅多にいない。従って、私は次のように想像した。
・作者が頑張って月間300枚書いたとして3か月強。本業がヒマな時にアポイントを入れずに一気に書き上げたのだろうか?
・それとも盆暮れの連休などを利用してホテル缶詰め状態になって半月程度で仕上げたのだろうか?
いずれも「ノー」のようだ。さすがに作者は理数系の権威だ。発想が科学的なのだ。
上原氏が調べてみたら、1枚の原稿を書くのに要する時間は10分だと分かった。仮に10分の空き時間や移動時間が出来ると、その間に1枚書くことも読み直すことも出来る。もし仮に、「原稿を書くためのまとまった時間を1時間以上確保する」と決めていたら、「本書を書くことは不可能になる」と作者は告白している。何かの大がかりな仕事をこなすための時間をまとまってとろうとしても、それは不可能に近いのが現実ではないだろうか。
一枚を10分で書くと言うことは、理論的に考えると千枚は1万分で書くことができる。寝ずに書けば7日間で書けるわけだが、一週間の連休すべてを執筆時間にあてれば書けるか、というとそれも不可能なのだ。普段、原稿を書いていない生活を送っていると、イザまとまった時間が取れたとしても他ごとをやってしまう。やっぱり毎日少しずつの積み重ねでしか“偉業”は出来ないようだ。
そこまでは分かった。すると今度は何が必要になるだろうか?そう、10分単位での計画が必要になる。大ざっぱな計画では10分単位で出来る仕事を予定に入れることは出来ないのだ。
アリの一穴がダムを崩壊させるように、あなた自身の計画を今以上に緻密にしてみてはどうだろうか。
「武沢さん、そんなコセコセと時間を密封するような生き方は好きじゃない。もっと大きく構えて重点志向でいこうよ。」という声も聞こえてきそうだ。わからぬでもない。毎日毎日10分刻みで計画するのではたまったものではない、とお感じの方も多かろう。
私が申し上げたいのは、「時間がないからやれない」という言い訳は絶対に通用しないということだ。人に管理されて10分単位で計画するのは好まない。だが、どうしてもやりたい事があって、そのために自ら10分単位の時間を捻出するのであれば、それは喜んでそうする。
きっとタイガーウッズもヒマさえあればショットの練習をしているはずだ。だからマスターズを連覇できた。
ヒマさえあれば○○する、という○○があなたにとって大切なことであればそれで良いのだ。
このような時間の使い方の知恵と工夫、それがビジネスや人生の成果を左右する。今の時間の使い方がベストだと思わないことであり、もっと成果を生むための方法論を学び続けることにしよう。