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お荷物幹部養成

給料システムの改訂によって、新たな評価制度や利益分配制度などを考案したいというご相談が、この時機はとくに多い。当然、その前提として経営内容を伺うことになるのだが、最近になって興味深いことに気がついた。

どの会社も、一人やふたりは上層部にお荷物幹部を抱えているのだ。しかもその幹部は、最初からお荷物だったわけではない。何年か前までは、極めて有能だったのだ。だから幹部にした。ところが今や、彼の存在そのものが、社長の頭痛の種と化してしまった。それほど、やっかいなのだ。とくに社長が温情派であるほど、こうした幹部が“育って”いる。

従業員がふた桁になると必ずと言って良いほど、そうした幹部がいるのだが、これは、いったいなぜ・・・?

私はこれを「お荷物幹部養成システム」と呼ぶことにした。このシステムは、当の本人とは関係なく稼働するこわ~いシステムだ。本人がどんどん能力低下を起こしているという事は滅多にない。

この「お荷物養成システム」は、評価する側、つまり会社や社長の片思いと、そこから生まれる失望という側面が色濃くあるのだ。

以前の「がんばれ社長!」で『ピーターの法則』というものについてご紹介したが、再びここで触れておこう。

・・・階層社会にあっては、その構成員はそれぞれ無能のレベルに達する傾向がある・・・

という法則だ。例をあげてみよう。

平社員として大変良い仕事をするので課長にした。すると、期待に応えてくれたので今度は部長にした。ここらあたりが限界だったのか、彼は部長としては「並」の存在になってしまった。だが、社長は彼が可愛いかった。今度は思い切って執行役員にした。

今度はダメだった。やがて彼は、「並以下」の執行役員になってしまった・・・。あれから2年、他の若手幹部が頭角をあらわし、彼の存在は組織のなかでくすんでしまった。くすむだけなら良い。給料が高い割に貢献していないと、若手の突き上げを喰うことも少なくない。

このように人は成功し、出世するにつれて無能レベルに到達する。かの豊臣秀吉も天下人になった後は、有能とは言い難いレベルになってしまった。

●この「ピーターの法則」には、「系」と呼ばれるものがあり、

系1・・・時がたつに従って、階層社会のすべてのポストは、その責任を全うしえない従業員によって占められるようになる傾向     がある。

系2・・・仕事は、まだ無能のレベルに達していない従業員によって遂行される。

実は、この法則こそが中小企業にお荷物幹部を培養している主原因であると私はみている。対策はあるのか?もちろんある。

そのためには、過去の人事常識を否定した、企業独自のカスタムメイド人事を制度設計しなけばならない。

(続きは明日)