★テーマ別★

イメージの魔法

Rewrite:2014年3月20日(木)

エピソードをひとつ。
今から数十年前、アメリカで形成外科の開業医をしていた先生は、来る日も来る日も患者さんの目や鼻を整形していた。そんなある日のこと、この先生は、「ちょっと待てよ!」と声をあげた。あることに気づいたのだ。
この病院の患者のふるまいをよく観察してみると、たいへんおもしろい法則性があることを発見したのである。この病院は形成外科なので、自分の体の一部にコンプレックスをもった人がやってくる。例えば鼻が低いとか、目がひとえであることなどを気にして来られるわけだ。

その患者さんが手術を終え、何回か通院を重ねるうちにみるみると表情が明るくなり、持ち物から服装、それに態度まで変わっていくという。それは、誰もがもっている「自己イメージ」の変化がなせるわざで、人間は自己イメージにかなった行いをする、という論文を書いて発表した。
形成外科のドクターがそれを機会に心理学者になる。

「私は醜い」と思っている時と、「私は美しい」と思っている時とでは、行いが変わる。
仕事でも同様で、自己イメージの高いセールスマンは堂々と顧客のオフィスをノックする。自己イメージの低いセールスマンは恐る恐るノックする。当然、それは顧客にもつたわり、顧客の対応も変わる。

この先生・マクセル・マルツ氏が書いた論文「サイコ・サイバネティックス」理論は、直訳すると「心のかじ取り」というありふれたタイトルになる。しかし、その内容は興味深く、私たちのビジネスや人生にそのまま当てはまる。

部下や家族の「自己イメージ」を高めることができれば、あなたにとっても良い影響が返ってくるはずだが、むしろ自己イメージを下げるような言葉を発する経営者も少なくない。
「うちの現状ではムリだ」「当社には人材がいない」などと公言していては社員の自己イメージを下げることになる。いや、「自社イメージ」を下げてしまう。

では、どのようにしたら「自己イメージ」や「自社イメージ」を高めることができるのか?

<明日につづく>