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すごい会社

2003年度の統計によれば、日本国内の印刷業や関連業の会社数は約16,000社。かつて、印刷業界は景気変動の影響を受けにくい堅実な業界と言われ、バブル期においては「確実に儲かる仕事」として新規参入ラッシュもあったという。

だが、バブル崩壊やパソコン普及とデジタル化・ネット時代の到来によって業界の存続すら危ぶまれるほど厳しい経営環境となった。

そして、ピンチはチャンスでもある。

デジタル化の波は企業や個人のコンテンツ発信の時代でもある。印刷業として新しい発想でビジネス展開を始めたところは、この数年間で事業をどんどん拡大した会社もたくさんあるようだ。

「好況良し!不況更によし!」と松下幸之助が語るようにいかなる時代でも「良し」と言える経営力をもっていたいもの。

そのためには、将棋や囲碁に定跡(定石)があるように、経営者も経営の定跡、つまり原理原則を知ってそれを実践し続けることが求められる。

ここにこんなすごい会社がある。
業界では名の通った超・有名企業だが、業界外ではまだまだ知名度が低い。その会社の今井相談役は、「一日500万円の税金を納める会社を創りたいと思いましたが、まだそこまで至ってません」と語る。

その会社とは、紅屋オフセット株式会社。(以下、紅屋)

昭和60年4月創業なので、まだ23年程度の社歴なのだが、おそるべき経営成果をあげている。

・資 本 金 2億5,000万円
・年商 約45億(平成16年度実績)
・従業員 150名
・現金支払い、現金回収
・自己資本比率 93.7%(業界の4~5倍)
・流動比率 616%(普通は150%くらい)
・当座比率 596%(普通は100%くらい)
・粗利益率 19.8%(業界平均は25%)
・経費率  7.0%(業界平均は22%)
・営業利益率 12.8%(業界平均は3%)
・当期純利益 7.5%(業界平均は1%強)
・無借金経営

23年程度の社歴でなぜこのような経営ができたのか?

「デジタルブームの波にうまく乗った」なんて一過性の理由ではない。
印刷企業が抱えがちな経営の諸問題を未然に防ぎ、今までにない会社を作ろうという経営者のつよい意志と取り組み成果に他ならない。

それは紅屋の理念と方針に追うところが大きいように思う。

・経営理念: ~世界平和と人の幸福向上~

・三基本十誓

一、世界一のモデル社員

(1) 明朗愛和素直で 親に喜ばれる人になります
(2) 人格能力を向上し プロに徹し社会に貢献します
(3) 印刷人の誇りと責任を自覚し公徳心を昂揚します
(4) 和合信頼考働する創造社員になります

二、世界一のモデル製品

(1) 人に物に大自然に 感謝の挨拶をします
(2) 創意と努力で納期を速め 優良品を生産します
(3) 時間設備材料を活かし 生産性を高めます

三、世界一のモデル経営

(1) 合理化省力化でお客様につくします
(2) 現金支払 現金回収に努め 優良取引をします
(3) 知恵と力を出し合って 全員経営をします

かつて製造業で『ザ・ゴール』という本が一世を風靡したが、紅屋では、経営にゴールはないと考えて『ザ・スタート』という本を出している。

正確に言えば、紅屋の経営を日本印刷新聞社が総力取材した著書が、『ザ・スタート』というわけだ。

『ザ・スタート』の副題は、「紅屋のビジネスコンセプトの全貌」とある。
私も入手して読んでみたが、日本印刷新聞社が印刷業界向けにまとめた本なので、どうしても専門用語が多くて難解だ。

だが充分に雰囲気が伝わってくるはずなので、ご興味のある方はこちらのサイトで入手されてはいかがだろう。

紅屋オフセット株式会社↓
http://www.beniya-print.co.jp/index.html

意志あるところに道はある。