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週休3日制

Aさんは3年前、祖父の代からの酒屋をコンビニ店に変えた。一大決心だった。夫婦が力をあわせ、数名のアルバイトを切り盛りしながら頑張ってきた。そして、予定以上の結果をあげてきた。だが今までは、24時間営業だけはかたくなに拒否してきた。その理由は、「眠る時間くらいは心身ともに休みたい」というものだった。しかし先月、Aさんの店の前にライバル店がオープンした。その結果、とうとう年中無休24時間営業体制を余儀なくされた。

Aさんが苦々しく語る。

「う~ん・・・。武沢さん、本当は24時間営業だけはやりたくなかったんだ。だって、我々夫婦も含めた社員が可哀想じゃない。どうしてそんなに長時間にわたって働かないといけないの?もっとゆとりある経済社会に戻そうよ。お正月の元日から営業を開始するスーパーなんかにも僕は本当は反対なんだ。」

このAさんの発言、気持ちは分からぬでもないが、少しピントがずれている。むしろ、年中無休24時間営業を実現するために、近代的労働条件が必要となるのだ。かえって今までの16時間営業のほうが、長時間過重労働に陥りやすいのだ。そのことをはき違えてはいけない。

週休3日制を導入する中小企業が増えている。これは、労働基準法で定められた1日8時間、1週40時間という規定をクリアするためである。また、それだけでなく今なら求人条件の目玉として使えるという事情もあるようだ。さらには、営業時間を増やすためでもある。

週休が2日の場合、労働は5日になる。一日きっちりと8時間労働で済むところなら問題はない。しかし、普通は午前9時~午後6時できっちりと仕事を終えることができる企業は少ない。多くの場合、一日あたりの勤務時間は9時間、10時間になっている。それならば、週休を3日にしてしまえという発想だ。これは悪くない。

週休3日制度だけでなく、こうした独自の人事制度は全社一律に実施する必要はない。例えば、技術部門だけ採用するとか、特定個人や特定チームだけに該当する制度であっても構わない。このように、労働条件を“ワークシェアリング”型にし、同時に対外的な営業時間は長時間化する、もしくは無休化するのだ。

Aさんには、今回のケースを通して、経営を近代化させるチャンスと捉えることにしようと申し上げた