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借金王の夢

わが家のご教訓カレンダーに「一年を通してローテンションを守りました」とあった。
最初は、「え、どこがおかしいの」と思ったが、よくよくみると、たしかにおかしい。

テンションといえば、
ある会合でとてもテンションが高い社長がいた。彼の話を聞いてみると、「とにかく僕は借金を返したい」と声高に語る。

それだけではない。

自社の経営理念が「借金の返済」。
今期最重要目標が「借金の返済」。
将来ビジョンが、「借金の返済」。
というからすごい。

借金を返すことにいま、とても燃えているのだそうだ。

それを聞いていた周囲の経営者は眉をひそめながら彼に助言を送っていた。

・そんなの理念でもないし、ビジョンとも言わない
・借金を返すだけの企業目標なんて、モティベーションが続かない
・いい年(48才)なのだから、もっと経営者らしい方針を作りなさい
・あなたの部下がかわいそうだ

などなど、気の毒になるほど彼に酷評を浴びせていた。

その後の議論は聞いていないが、私は経営者が作る目標に正誤はないと思っている。

大切なことは「正誤」ではなく、「濃淡」だ。あるいは、テンションの「高低」と言ってもよい。
目標は濃くしなければならない。モノトーンではなく、フルカラーにしなければならないし、目標へのテンションは高くなければならない。

方針や目標とは、部下をやる気にさせるために作るものではなく、社長自身が燃えるように作られるべきものだ。

社長はいかに我がビジョン、我が目標に固執し、念じ、それにむけて飽くなき追求を継続できるかが勝負である。
他人をうならせるような説得力充分のビジョンなどいらない。自分がうなれば、とりあえずはそれで充分なのだ。

「借金返済!」の彼のように、周囲が何を言おうが「僕は借金を返したいんだぁ」と力説できることに価値がある。

ただし、彼もやがて学習するだろう。

自分の今の目標は、自分には効果があっても部下にはどうなのか。
自分には効果があっても、求人のときにはどうなのか。
自分には効果があっても、金融機関や取引先にはどうなのか。

すると、彼は、自分一人ではどうにもならないことに気づきだす。借金を返すためには、経営者としての自分には何が必要かを新たに真剣に考えることになるだろう。

そのときになって、お客を喜ばすことの大切さを痛感したり、スタッフの能力向上の大切さを痛感したりする。
それは他人様が「お客さんを喜ばせなさいよ」と指摘するから盲目的にそうするのとは違って、筋金入りの我が思想としてお客を喜ばせようと思い始めるのだ。

このように、経営者は我が旗印を作り替えながら、練り上げながら、失敗と成功をくり返しながら信念を強化し、らせん階段を上にのぼり続けていく職業だと私は思う。

がんばれ!借金王