「え、彼が辞めるのですか」と私。
「そう、どうせ彼は最初から実家の家業を継ぐつもりだったらしいから」とA社長。
武:「でも、彼には期待していたのでしょう」
A:「間違いなく新人王をとれる子だったが・・・」
武:「悔しくはないのですか」
A:「悔しいとか悔しくないの問題ではなくて、最初から決まってたことなので」
武:「でも、会社のどこかが違っていたら、彼はもう少しがんばれたのではないですか」
A:「それは、ないね。それはない。去る者は追わずさ」
たしかに去る者は追わずでよいかもしれないが、「なぜ去るのか」を確認する必要はある。
去る相手が惜しくても、惜しくなくても、本当に辞める理由を知る権利と義務が会社にはあると思うのだ。
もともといつかは辞めるつもりで入社した社員とはいえ、何とか彼の心をつかんで改心させられないものかとA社長は挑戦したはずだ。
退職していく社員はどうせ辞めるのだから時間を割くなどもったいない、と思ってはいないだろうか。
そうではなく、今こそ彼と直面しよう。
申し訳程度の送別会と記念品贈呈でお茶を濁すことのほうがもったいない。
実は辞めていく社員ほど率直な意見を聞かせてくれる相手はいない。
わが社の実態をすべて知っているし、すでにノーリスクとなった彼は、聞かれた質問には何でも率直に答えてくれるはず。しかもノーギャラで。
入社時に「採用面接」があったように、退社時には「退職面接」をやろう。これをシステマチックにやっている会社はほとんどない。
米国企業では結構これが普通に行われているというが、私もある本を読むまでは、この「退職面接」なる手法を軽視していた。
その”ある本”とは、明後日の「がんばれ社長!」広告専用号外でご紹介する本なのでそちらをお待ちいただきたい。
その本には退職面接の具体的なやり方を16ページも割いて解説している。
退職面接、もしやるとしたならば、あなたならどのような質問を用意するだろう?
あさっての”その本”で答え合わせをしてもらいたい。