京都で建仁寺、知恩院、詩仙堂、曼殊院を巡った。紅葉にはまだ早いが、畳にすわり、庭を眺める。時折スッコーンと、ししおどしの竹の音が静寂を破る。
こうした時間を大切にしたいと思う。
当然のことではあるが、お寺はどこも清掃が行きとどいていて感心する。毎日の日課の中に清掃が入っているから、チリやホコリを見つけることはできない。
シンプル・イズ・ベストというが、無駄なものや不要なものがないという状態を維持するには毎日の日課が欠かせないようだ。
頭の中も心の中も、毎日の作務がないとチリやホコリが積もる。
だから、私たちも年間・四半期・月間・週間という単位で目標と計画を更新する。
まず基本となるものは経営計画書。
呼び名は「経営指針書」でも「経営マニフェスト」でも「事業発展計画書」でも「ビジネスプラン」でも何でもよい。なるべく、聞いただけでテンションが上がるネーミングが良いだろう。
発展の絵が描けない業種の場合はどうか。
昨夜はある自動車整備会社の経営者にお会いしたが、成熟産業だから、年々発展していくような計画を作りたくても作れないと言う。
「だから作るのですよ」と申し上げた。
果たして、経営計画書を作るにふさわしい業種や規模やタイミングというものはあるのだろうか?
そんなものはなにもないはずだ。
今年以降、こうなりたいと願う姿を明らかにするのが経営計画書。
作成する前から、うちの業種では無理だとか、うちの社員では難しいなどの予見を持ち込まないことだ。
だから、まずはWillやWishのリストを書き出すことから始めていって、心の温度を高めていく必要がある。
ひとりでビジネスを始めたばかりの自営業の方も経営計画書を作ろう。経営計画書を作るのは、社員や銀行のためではない。
社長自身の気持ちを引き締め、潜在能力の発揮を要求するためである。
誰にも発表しない自分用経営計画書を作るのだ。
「すでに作ってある」というあなたも、少なくとも四半期ごとに計画を最新のものに更新しよう。
「今度の連休を使って経営計画をじっくりと練り上げてみます」というのでは遅い。計画作りは後回ししてはならない。今日やり始めるのだ。一気に作り上げようとするのではなく、作業を小分けにして徐々に勢いを作っていく。
まず今日、30分で作る計画は、
・今、会社として何をしなければならないか
・今、自分は何をしなければならないか
・それ以外で、何をしたいか
・プライベートで何をしたいか
・それらの結果、会社と私の未来はどのようになるか、なりたいか
手書きでもパソコンでも構わないが、私はレポート用紙を使って手書きで書き殴るのが好きだ。
そして、あらかた書き終わったところでもう一度ていねいに清書する。
この30分の作業が終わる頃、あなたも寺院の床のような塵一つない心境になっているに違いない。
これによって、テンションが上がると言うよりは、もともと高かったあなたのテンションを覆っていた余分なものを払いのけるのが主旨でもある。