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社長の当事者意識

「うちの社員は自分のことばっかり考えて、会社のことなどこれっぽっちも考えていない。どことなく態度が野党っぽくて、会社運営に対して批判的で、当事者意識がないんだよ」とE社長。

やがて社員への不満だけでなく、専務以下の経営陣に対する不満まで飛び出した。

たしかに社員が会社に対して当事者意識をもつことって難しい。特にE社長の会社のように社員数が100名を超えると、社員にも集団心理や群集心理が働くようで、「自分ひとりぐらい」「今日一日くらい」と甘えの気持ちが芽生えることだってあるはずだ。

社員に当事者意識を持たせるための様々な取り組みがあるが、私は、社長自身がまず、地域や国家に対して当事者意識をもつことを提言したい。

国民の三大義務が、

・教育の義務
・勤労の義務
・納税の義務 であるならば、

経営者の四大義務は、

・増収増益の義務
・法人税納税の義務
・雇用増加と人材育成の義務
・投票の義務 としたい。

地域や国に対する当事者意識をもつとは、このようなことではなかろうか。

経営者自身が、社員の前で「誰がやっても政治は変わらん」などと、投票意欲をなくすような発言をすることがあってはならない。

また、経営者は法人税を払うことに対して、必要悪という意識からさらに前へ押し進んで、喜んで地方や国家に税金を払わせてもらっていると考えてみよう。
もし、そうした郷土愛や国家愛のような気持ちが全然芽生えないのならば、さっさとタックスフリーの国へ引っ越せばよい。

「なんで払わなあかんのや」と文句を言う前に、「まず払ってみろ」と言いたい。

過日、ある経営者が仲間の経営者に向かってこんなことを言っていた。
「おまえは本当に税金を払いたいと思っているのか?そんな脇の甘い考えでは会社は守れないよ、バカだなぁ。今の税制において、まともに税金を払っていってみろ、孫の代で会社は消滅するよ。税金を払うくらいなら社員にもっとばらまいてやれよ」

残念ながら、不勉強であるだけでなく、当事者意識もないようだ。こんな社長のもとでは、当事者意識をもった社員を育てようというのが無理かもしれない。

まずは、脚下照顧。
有能な経営者ならば、だまって増収増益をし、しっかりと納税してみよう。一ケタ多い、過去最高額の納税をしよう。

その結果生ずる国家に対する当事者意識を感じてみるのだ。そうしてこそはじめて、「企業は社会の公器」と胸をはれるようになる。