私は整理整頓が苦手だ。
時々思い切って周辺をきれいに片づけるが、一週間もしないうちに本や資料、郵便が乱雑に机周辺に散乱する。作家やジャーナリストならそれでも格好良いことかもしれないが、オフィスワーカーとしては問題ありだろう。
だから、掃除や整理整頓が大好きで得意というスタッフがそばにいてくれるととても助かる。
オフィスといえば、
一倉定の社長学第六巻「内部体制の確立」の中で、ボロ会社に限って立派な社長室があるという言葉が出てくる。
「なるほどなぁ」と思っていたら、社長室(役員室)は質素であるべきと指摘するのは日本だけではないと分かった。
「ビジョナリーカンパニー」などの外国書でも、立派な社長室や豪勢な役員専用フロアなどがある会社は時間をかけてダメになってゆくと実例をあげて紹介しているのだ。
では、「ボロ社長室」、「ボロオフィス」にすることが良いかというとそうでもない。
無駄な装飾にお金をかける必要はないが、機能性や機能美という部分にはこだわりが大切だと思う。
NHKプロフェッショナルでは、「仕事を変えるオフィス術」として、電子基板の検査装置の製造販売で世界シェア2位を誇る株式会社サキコーポレーション(代表取締役 秋山咲恵社長)を紹介していた。
仕事の質を高めるオフィスのあり方を常に模索してきたという秋山社長は、今の東京・品川駅前の高層オフィスの設計にも自ら深くかかわったという。
特にこだわった点は、
・視界をさえぎらないこと・・1.1mを超えるような間仕切りやキャビネットを置かない。どこに座っていても、社内全体の様子を肌で感じられるようにする。
・オフィスの中に「靴を脱いであがる打ち合わせスペース」をつくる。
・曖昧な空間をつくる(窓際にフリースペースを設けるなど)。
会議室を使うまでもない、ちょっとしたミーティングに使用。気分を変えて仕事ができる。
秋山社長だけでなく、快適なオフィス環境から受ける刺激によって、よりよいアウトプットを引き出そうという試みは、すでに若手経営者の一部で当たり前のことになりつつあるようだ。
私が実際に目撃しただけでも数社ほどある。
リンク アンド モチベーション( http://www.lmi.ne.jp/ )では、社名のとおり、モチベーションに関する事業を手がけてきているが、プレイスマネジメント事業という部門も立ち上げた。
依頼主のニーズや予算に応じてオフィスのあり方をコンサルテーションしてくれ、それが社員の仕事にどのような影響を及ぼすかという点までフォローしていこうというのだ。
そこで、同社では実際に社員が働いているオフィスをそのままショールームとして開放している。
希望者は予約して訪問すればスタッフがオフィスを案内してくれるだろう。
プレイスマネジメント事業
http://www.lmi.ne.jp/services/workplace/
採用のワイキューブ( http://www.y-cube.co.jp/ )のオフィスもすごかった。
私が説明するまでもなく、この写真をご覧いただいた方が早いだろう。
これだけ徹底すれば、学生も「入りたい」と思うに違いない。
ワイキューブのオフィス
http://www.y-cube.co.jp/docs/about_us/office/index.html
サイボウズ( http://cybozu.co.jp/ )のオフィスも楽しかった。
たしか、「軽井沢」とか「札幌」とかの地名が付いた会議室がたくさんあり、部屋によって大きさやカラー、デザインがまったく異なる。
ミーティングの主旨・目的によって部屋を使い分けるというのだ。
アイデアを出し合う部屋などは、周囲の四面の壁すべてが床から天井までホワイトボードになっていた。
昭和の時代から経営者に提唱されてきた「環境美化」の取り組みは、今、徐々に変質して「デザインオフィス」という方向に向かいつつある。