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リーダーの演技力

スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、アメリカを代表するコミックヒーローたちだ。
最近のハリウッド映画では、昔とちがって強いばかりのヒーロー作品に仕立てることはしない。むしろ、人間的に悩んだり、失恋したり、壁にぶつかったりする。
現代では、そうした等身大のヒーロー像の方が、かつての英雄・ジョ
ンウェイン的なタフさよりもウケが良いのだろう。

求められるリーダー像は変わりつつあるのか。

第二次世界大戦の後処理を議論したといわれる「ヤルタ会談」。

この写真の中央にいるのがフランクリン・ルーズベルト大統領(米国)。
ちなみに左がチャーチル(英国)で右がスターリン(ソ連)だ。

一昨年、ヨーロッパを歴訪したアメリカのブッシュ大統領が、この会談そのものがその後の新たな問題を生んだ諸悪の根源、と非難した。
が、ここではそれは別問題。

ヤルタ会談の画像
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d2/Yalta_summit_1945_with_Churchill%2C_Roosevelt%2C_Stalin.jpg

写真中央にいるルーズベルト大統領は、歴史上唯一の4選(12年)された大統領としても有名で、正式に「2選まで」と法制化される以前も以後も2選が最高なので、いかに国民から支持された大統領だったかがわかる。
ある意味、ミスターアメリカであり、ミスターリーダーシップだったわけだ。

その彼は、39才のときポリオ(小児麻痺)を患った。

下半身が不自由になり、歩けず、車椅子の生活を余儀なくされた。彼は失望し、政治家の道を断念しかけているが、内助の功によって勇気づけられ、ふたたび立ち向かって11年後に大統領になっている。

そんなルーズベルトは、マスコミが写真撮影するときには、車椅子が決して写らないように指示した。
訪問先では、植木や立ち木をカムフラージュに使うため、植物の植かえなどを神経質なまでに指示したという。

当時のマスコミもあえて車椅子のことは報じなかったため、彼が身障者であったことを知る米国民はほとんどいなかったというから、驚きだ。
これは約75年前、日本の昭和初期のことであって、映像社会の今日ではとても考えられないことだ。

東京のYさんからこんなメールを頂戴した。

・・・
こんにちは、Yです。金曜日号で紹介された、「あらゆるリーダーシップは、すべて演技だ」(トム・ピーターズ)という言葉の意味を詳しく知りたいと思いました。そう思っている方、多いかもしれません。
メルマガ上でお聞かせいただければ幸いです。
・・・

トム・ピーターズのマニフェスト1「デザイン魂」でトムは、偉大な企業や偉大な思想・政治のリーダーにはそれにふさわしいブランドリーダーがリーダー像を見事に演じていると述べている。

しかも、そのオスカー像を与えるべきはマハトマ・ガンジーだと。
非暴力国家の建設者という役を演じるために見事な衣装をまとい、よく目に触れる小道具を慎重に選んでいる。
それは質素なチャルカ(糸車)。

ガンジーは自らの演出者でもあった。彼はこう語っている。
「自らが、世の中に起こしたいと願う変化そのものにならなければならない」

ガンジーのチャルカ(糸車)
http://www.geocities.com/genitolat/Utopia/003.html