優れた内容の会社を作るということは、とてもやり甲斐ある仕事だ。
成長性が高く、収益性も高く、尚かつ財務の健全性にも優れている、そんな会社を作りたい。
それは、ある単年度の業績だけで作られるものではないし、社長の独力でやれることでもない。永年にわたる社員の総力を結集した結果、得られる企業体としての価値と魅力だ。
あたかもダヴィンチが「モナリザ」を、ミケランジェロが「ダビデ像」を、ピカソが「ゲルニカ」を、ゴッホが「ひまわり」を、夏目漱石が「坊ちゃん」を、司馬遼太郎が「竜馬がゆく」を、五木寛之が「青春の門」を作ったのと同じくらい情熱がいる仕事であり、社会的に価値あることである。
作品はいつしか作者の手を離れ、人々のものになる。あなたはいつしか「アーチスト」から「ファウンダー」になるのだ。
「そんなこと言ったって武沢さん、芸術って好みの問題もあるでしょう。会社の価値といったって上場企業じゃないのだから、時価総額も分からないし、自分の持株資産だって相続する時ぐらいしか分からない」と言われたことがあるが、そんなことはない。
すべての会社に株価がつく。
株式会社であろうと有限会社であろうと、一度でも決算を行った会社であれば、税理士さんにお願いすれば大まかな株価計算をしてくれるものだ。
非上場会社には株式市場がないため、なんらかの計算公式に当てはめて算出するわけだが、その公式は算出目的によって異なる。
たとえば、
・相続税評価のための株価
・第三者との株式売買のための株価
・利害関係者との株式売買のための株価
・会社が自社株を買い取るための株価
また株価の算定方法にも
・比準株価方式
・配当還元方式
・純資産方式
・折衷方式
などなど、いろいろある。
ちなみに、今、東証一部上場企業の場合は、一株あたり純利益の20倍まで買われている。
これを「株価収益率」というが、株価を1株あたり純利益で割れば計算できる。
東証一部 連結PER
http://www.opticast.co.jp/cgi-bin/tm/chart.cgi?code=0170
ということは、あなたの会社の税引後純利益を株数で割ればよい。
そうすると、一株あたり純利益が計算でき、それに20倍かけたものがあなたの会社の株価となる。
それにあなたの持ち株数を掛けたものがあなたの持株資産だ。
今期と向こう5年間の損益計画・貸借計画を作ろう。その一番下の行に、株価と時価総額を記入しよう。
そうすれば、もっともっと良い会社を作りたいという情熱が湧いてくるはずだ。
自分の収入を増やしすぎて会社を弱体化させていないか。公私混同の経費の使い方をして、会社の体質を弱めていないか。
会社はあなたの芸術作品だと先に話したが、くるくるとリアルタイムに作品の値段が変わっていく値札付き芸術作品なのだ。
人を育て、市場とお客を創造し、専門分野を深めていく。富と感動を創造する職業「経営」。
これほどやり甲斐のある仕事って他にあるだろうか、としみじみ思う次第である。