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成長する社長

社長は成長する。社員教育のおかげで社長が成長するのではなく、社長業という職業環境と、本人の意欲の高さ、それにアイデアの的確さという香辛料がベストマッチしたとき、社長は文字どおり急成長する。

今日の午前、3年ぶりにM社長(33才)とお目にかかった。彼に前回お会いしたのは、まだ専務として父をもり立てているときだった。

社長となって最終意思決定をする立場になったせいか、M社長は風格がついただけでなく、経営者として急成長しておられた。
まさしく八面六臂の活躍をしているのだ。

M社長の会社は名古屋本社の瓦メーカー。
この3年の間に工場と営業所を増設し、飛ぶ鳥落とす勢いで成長し、社員数も二倍になった。かたくなな職人集団という社内を意識改革してきた。

昨年から始めた中国向けの瓦輸出が今、好調に売り上げを伸ばしているという。最初は、中国には輸入目的で出向いていたが作戦を変えて輸出相手にしようと考えた。

インターネットのYahoo!中国語版で企業検索し、中国のゼネコンをピックアップして片っ端からアポ電話攻勢をかけた。
(社内の中国人スタッフを使って国際アポ電話)

ものすごく低い確率だが、一定の割合でアポがとれるので、M社長自ら単身で中国に渡り、商談してくる。
彼は言葉がまったくできないので、用意した紙芝居と電子辞書が頼りだという。そうして開拓してきた中国向けの輸出部門が今、採算に乗りつつあるというからすごい開拓力だ。

「大胆だね、勇気がいるでしょ」と水を向けると、「いいえ、命を取られるわけではないし、仮に商談がうまくいかなかったとしても、それ以上の収穫があります。たとえば、中国の瓦の製品や流通事情とか建設業全体の同行などは生情報でしかわからないことがたくさんある」とM社長。

今月末には社員30名を二班に分け、全社員で上海での見本市を視察するという。

また、関連会社のひとつが未上場企業向けの株式売買市場「グリーンシート」に登録する。資金調達の多様化が実現するわけだ。

さらには、ヨーロッパでのビジネスイベントにも出展し、特殊用途のCADソフトを欧州市場で販売している。
これらのほとんどすべてが、M社長一人で牽引して行われているからすごい。

「会社のボディは大型トラックくらいになりましたが、エンジン自体は軽トラックのままです」とM社長は苦笑する。

経営のエンジン(経営チーム)がまだ弱いということらしいが、M社長がこの3年間で大変化を遂げられたように、若手社員の中にもチャンスを与えれば急激に伸びる人材がいるはずだ。

社長が伸びるのだから、社員だって仕事で伸びる。

思いっきり仕事しやすい環境を整えてあげよう。どうしたらもっと仕事がしやすくなるか聞いてあげよう。
社員の意欲が高まるようなことを考えよう。
社員が熱中するようなおもしろいアイデアを加え続けよう。