湯布院で生まれ育ったNさんは、「由布院 玉の湯」で活き活きと働いている。内から出る自然な笑顔がすてきな方だ。
「この町の雰囲気が小さいころから大好きです」
彼女が生まれた20年前は、今よりもっと田畑が多く、売店の数もすくなくて長閑(のどか)だった。その頃のほうが今よりもっと好きだったが、それでも、今なお湯布院が一番好きだというNさん。
今、私は「由布院 玉の湯」で彼女がいれてくれたコーヒーを飲みながらこの原稿を書いています。
別府に次ぐ日本第二位の湧出量を誇る由布院温泉。
大浴場はもちろん、内風呂までもが源泉掛け流し。100%源泉でやや高めの温度。ぬるめの湯にゆっくり浸かるのが大好きな私は、一晩で3回も大浴場へ行ってきました。こちらは温度調整をしてあるのです。
玉の湯は、広い敷地に18室しか作らず、全室が離れのようなスタイル。鳥の鳴き声と新緑に囲まれて、とても安らげます。
スタッフの数は多いようで、食事などで混み合う時間帯でもスタッフは慌ただしそうに働いていないところが良いのです。
お客との会話でも完全に終わるまで、スタッフは自分から席を立とうとはしません。すべてがゆったりと流れているのです。
私たちが泊まった部屋は、和室が二部屋と、庭に面したサンルーム。
フローリングが敷かれたサンルームに置かれたBOSEのプレイヤーからは、喜太郎の曲が流れています。窓外の新緑とよく合い、ここではテレビは要らない、とテレビ好きの家内もテレビをつけようとしません。
何泊でも長逗留したくなるところです。
内風呂は8畳ほどもあり、トイレも広々している割に暖かく、すべてに行き届いています。LANケーブルもあり、接続すればすぐにブロードバンド。
由布院に散策に訪れる観光客の4分の3は泊まらずに他へ移動すると聞きましたが、ここは泊まってナンボの所でしょう。それに、スタッフと会話してナンボでもあります。
町名とインターチェンジは「湯布院」。駅名と温泉名は「由布院」といい、今でこそ大人気の温泉ですが、別府温泉の人気に隠れて昭和30年頃まではまったく不人気な街だったといいます。
全旅館の経営状態が厳しく、隣の旅館がいつのまにか売り払われていたということまであったそうです。
その後の由布院成功物語については、数々の書籍で取り上げられています。私は「由布院の小さな奇跡」(木谷文弘著、新潮新書)をカバンにしのばせてここまで来ました。
「ふたりで泊まるほんものの宿」(新潮新書)で宮城谷昌光、聖枝ご夫妻が書いておられるように、由布院ではもうひとつ「亀の井別荘」という人気旅館があります。
また、「山荘 無量塔(さんそうむらた)」を加えて “御三家”とよぶこともあるそうです。ひと通り、制覇してみたくなりました。
さあ、今から別府へ移動し、湯巡りを楽しんできます。今夜のフライトで大分空港から名古屋へ。
一昨日の博多非凡会のあと、昨日・今日の二日間は、かみさん孝行日。
これでフル充電完了。明日の土曜日から三日間、オフィスにこもってたまった宿題原稿をやっつけます。
「由布院 玉の湯」 http://www.tamanoyu.co.jp/