ロマンとソロバン(志と数字)のバランスをとるのが名社長の条件。
あなたが今、どの程度の名社長なのか客観的にチェックしてみたことはあるだろうか。
社員の評価については、比較的簡単に事例が手に入るせいか、多くの企業で自社独自の社員評価表を作り、その結果を賃金や昇降格などに反映しておられる。
だが、社長の評価となるとそのような事例ややり方について解説されたものを見たことがない。特にオーナー企業の社長に限っていえば、評価される機会がまったくない、というのが現状ではなかろうか。
本来ならば、株主総会で社長も評価され、場合によっては社長更迭というような決定も起こりうるわけだ。
だが、形式的な株主総会しか開催していない株式会社が非常に多く、経営のチェック機能が正常に働いていない。
日本能率協会が2005年に「役員の業績評価と報酬に関するアンケート」を行った。
一部上場企業のトップに対して行った調査で、その結果はこちらに詳しくあるのでご覧いただきたい。 http://www.jma.or.jp/release/23.html
このアンケート結果をかいつまんで言うとこうなる。
・役員評価を行っている会社でも、「社長の評価」は行っておらず、回答企業の6割が実施予定すらない。
・役員にも、ようやく能力主義が入り込んできた模様で、5割超の企業で目標達成率が役員の評価基準になっている。
・役員の評価結果ならびに個別役員の報酬金額については、9割以上の企業で開示予定なし
・一般社員と同じく、役員も月次報酬と賞与、それに退職慰労金が主力収入源となっており、ストックオプションなど業績連動の報酬比率は低い。
・役員報酬の金額算定基準は、役員在任期間や役職位で決まっており、在任中の業績については重視されていない。
依然として役員の評価と報酬との関係は、ブラックボックスのままだといえる。
バブル崩壊後の10年間、社員の能力主義は新幹線並のスピードで進んだが、役員のそれはカメの歩みであり、社長の評価にいたっては手つかずの現状と言えよう。
そこで、社長自身による社長評価のやり方を考えてみよう。
先の日本能率協会のアンケート結果に、役員の業績評価で使用されているベスト5指標が載っていた。
たとえば、事業担当取締役の場合、
<定量的指標>
1. 利益額(率)
2. 売上
3. 目標達成度
4. ROA
5. ROE
<定性的指標>
1. 目標達成度
2. 部下の育成
2. 全社的観点での行動
2. 戦略実施の進捗度
5. リーダーシップ
とある。
こうした指標を参考にしながら、あなた独自の「社長評価表」を考案しようではないか。
中小企業ならば、これらの指標の他に、キャッシュフローや経営理念、企業風土や規律、社長自身のモティベーションや情熱、学習なども加えたいところだ。
それを評価表のスタイルに仕上げ、合計を100点満点になるようにしよう。
上半期と下半期で評価し、結果を毎回記録していこう。当然、評価結果に連動するかたちで社長自身の報酬額を増減するようにすれば完璧だ。
評価結果いかんによっては、他の役員に社長を交代したほうが良いときだってある。その方がよければ、そうしよう。
期間限定でまず、最大株主であるあなたが、他の役員の部下になることだってあって良い。
このような「社長評価」によって、社長自身が社員と同じく被評価者になり、同時に、競争原理に自らの身をさらすことが会社を健全に保つことにつながるはずだ。
このゴールデンウィーク、ご自分のために社長評価表を設計されてはいかがだろうか。
お作りになった人は是非、メールで送ってほしい。良いアイデアを共有しようではないか。