真正面から問題に取り組まないかぎり、社員にとって切実なテーマでも放置されっぱなしになってしまうことが多い。
たとえば、
・昼夜逆転の交代勤務の中で彼女を作るにはどうしたらよいか?
・連日の残業が続く “かき入れ時” に、家族サービスの時間を確保するにはどうしたらよいか?
・国家資格を取りたくて会社に入ったのに忙しすぎて資格取得の勉強ができない。どうしたらよいか?
答えが見つからないと、社員は辞めていく。
日本企業のお家芸のひとつ QC(Quality Control) サークル活動。
最初は製造業の品質管理を目的に導入されたが、今では物的品質にとどまらず、サービスやシステムなど仕事そのものの品質をコントロールする目的からあらゆる産業で応用されるようになった。
私が小売業で働いていた25年前、全社にQCサークルを導入する仕事を任されたことがある。
・スペシャリティな
・サービスを提供する
・スキルを身につける
という狙いから、頭文字をとって「SSS運動」と名付けた。
キックオフ大会を華々しく敢行し、一年目の成果発表会を開催するところまでを私が担当し、期待以上の成果が上がったと思っている。
その直後に退職したのであとのことは知り得ない。
・在庫ロス率の減少策
・めまぐるしく入れ替わる季節商品の商品知識をいかに修得するか
・レジ精算における金銭誤差の原因発見法と原因別対策
・効果的なアルバイトシフト表の作り方とアルバイト確保策
などなど、「SSS運動」によって職場の問題が改善された、という成果はもちろんのこと、そのプロセスで得られる副次的な成果も大きかったように思う。
それは、日常の上司・部下・同僚・先輩・後輩といったコミュニケーションではなく、サークルの一員として職制とは別の役割を各自が担うことで生まれる新たなコミュニケーションの喜びだ。
「武沢くん、飲みに行くぞ。そのあと麻雀だ」と上司から誘われるようになったのも、この活動を始めてからだ。
当然のことながら、企業のサークル活動は単なる仲良し活動や部活ではない。
企業の経営理念がQCサークル活動の理念となり、活動のベクトルとなる。各サークルの活動テーマは自主申告の場合が多いが、ベクトルを充分理解していれば、テーマが脱線することはない。
そんなQCサークル活動も最近はISO 9000や14000などに話題が奪われ、大きく取り上げられることが減ってきたが、どっこい。
あの本田技研工業株式会社のQCサークル活動は、ワールドカップサッカーにちなんで、世界規模でブロック大会と本決戦大会が行われているという。
活動の名称はNH(ニューHONDA)サークル活動。今年は、6月に社内決戦があり、勝ち抜けば日本へ行ける。
海外で活躍するHONDAピープルの多くは、日本に行くのを夢見てがんばっているようだ。
冒頭にご紹介した「昼夜逆転の交代勤務の中で彼女を作るにはどうしたらよいか?」なども実際の活動テーマになっているという。
あなたの会社でもこうした活動を活かせないものか、一度検討してみよう。
ホンダNHサークル
http://www.honda.co.jp/50years-history/pdf/p154-159.pdf