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内閣官房を作ろう

今私は、新卒求人ブースでこの原稿を書いている。

たくさんの学生がわが社の社名を珍しそうに見ながら目の前を通り過ぎていく。一部の好奇心旺盛な学生だけが私の前に置かれた椅子に座って話を聞く。
午前10時にスタートして14時までに9人(女性6人)の学生が興味をもってくれた。

これは愛知中小企業家同友会が毎年行っている共同求人イベントで、新卒学生を市内のホールに動員し、ブースで待機する企業側は、学生が興味をもってくれるようなブース作りと面談が仕事だ。

最近の旺盛な求人意欲を反映してか、全国的に需給関係は逼迫しているようで、弊社も昨年ほどの集客を果たせるかどうか予断を許さない。
しかし、量より質。一名でもよいので運命的な出会いがあればそれで大成功だと考えている。

さてそんな状況の中、今日は「内閣官房を作ろう」という提言をしてみたいと思う。
企業にとって内閣に相当するものが役員であり、閣議が役員会であり、総理大臣は社長だ。

政治においては、総理大臣を直接に補佐・支援する機関が内閣官房であり、その長官が内閣官房長官(通称・官房長官)だ。

英語で Cabinet Secretariat といわれるように官房長官は総理大臣の女房役であり、組閣の際には真っ先に任命されて、首相の右腕として働く。当然、総理大臣と一枚岩の信頼関係でなければならず、自民党では首相と同派閥の議員が就任するケースが多いようだ。

内閣官房の仕事は、閣議事項の整理、内閣の庶務、行政各部の施策の総合調整などを行う。その組織を調べてみると、私が想像していた以上の大所帯なのである。

官房長官、官房副長官、危機管理監、官房副長官補、危機管理審議官、広報官、広報室企画官、広報室調査官、情報官、情報調査室、衛星情報センター、総理大臣補佐官、内閣総理大臣に附属する秘書官、総務官、総理大臣官邸事務所長・・・etc.

会社経営において内閣官房長官に近い役割を担うのが、社長室長や秘書室長だろう。また、兼務ではあるが、総務部長もそうした機能を受けもつ場合が多い。

あなたの会社に必要な、内閣官房的な仕事って何があるだろう。

たとえば、社長直轄の危機管理室、広報室、情報室、補佐官、秘書官的な仕事は誰が担当しているだろうか。

ほとんどの会社では、こうした社長の意を汲んで社長直轄で動く部署は作っていない。
生産性を高める上では、小さい本部・小さい政府が好ましく、間接部門に人を割きたくないのはヤマヤマだ。
だが、内閣官房的な仕事をする部署や個人がまったくいないために、社長のアイデアが実行されずにとどまっていては本末転倒である。

必要最小限でかまわないので、社長にとっての内閣官房組織が必要なのだ。

社長は社内の誰も担当していない仕事をやるのが仕事。未来志向な仕事であり、非定型の仕事・イレギュラーな仕事だ。
そうした仕事には、情報収集やリサーチ、外部との接触などの雑務も多い。

内閣官房がなければ、総理大臣の仕事は機能不全になるように、内閣官房的な部署や個人がいない会社では、社長が機能不全になりがちだ。

必ずしも組織図のなかに「社長室」や「秘書室」を作る必要はないが、それが可能ならばそうしよう。
また、特定個人を育て上げ、官房長官的な役割を担えるようにしていくことは戦略的な企業を作る上で欠かせないことだと思うがいかがだろう。

内閣官房長官経験者が総理大臣になるケースが多いが、企業においてもそれがいえるはずだ。