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坂の上の雲とバブル


●「戦国よりも幕末よりもハイテンションなあの時代」

というキャッチフレーズで今週土曜日(2月10日)に東宝系劇場で公開される映画といえば、『バブルへGO!!』だ。

バブル経済に湧き、多くの人たちは多額の不労所得を得て、「自分は一生働かなくても大丈夫」などと心から信じていたものだ。私も一瞬そう思っていた。
だが、そのバブル経済も破綻してから早20年近くたった。

●当時の学生が今、企業の幹部や経営者になり日本経済の中枢を占めている。そんな人たちに、映画を通してバブル経済に踊った当時の日本を紹介するのも悪くなかろう。

ということで、結構楽しみな映画だ。

★映画「バブルへGO!!」 http://www.go-bubble.com/index.html

●楽しみなことをもう一つ紹介したい。
それは、今年4月28日に愛媛県松山市にオープンする「坂の上の雲ミュージアム」だ。開館記念テーマ展は「子規と真之」。
ムードを盛り上げようと、公式サイトが先週開設されたばかりだが、「いつ行こうかしら」と今から楽しみにしている。

★坂の上の雲ミュージアム http://www.sakanouenokumomuseum.jp/

●「坂の上の雲」とは司馬遼太郎の傑作のひとつで、明治維新の後、官軍側につかなかった都道府県の若者が立身出世を遂げる方法は学問しかなく、学問に精を出すうちに時代の奔流に飲み込まれるように軍人となり、日露戦争で日本を救った秋山兄弟と正岡子規、の物語だ。
いずれも松山の若者だ。

学問することで出世し、公務員になって、お豆腐ほどの厚みのお金を親にプレゼントするのが当時の若者のシンプルな夢だったろう。

●そうした時代を生きた「坂の上の雲」の主人公たちは、文字どおり坂の上を見上げ、さらにその上にある雲を見上げるような生き方をした。

「坂」というものと「雲」というものが物理的に存在したのだ。それが欧米の先進国を意味したり、出世するという生き方を意味したはずだ。

●だが、バブル経済でいったん坂の上の頂点にたった日本と日本人。
そして平成19年の今、日本人の前にはかつのような坂はなく、雲もない。

●坂の上の雲を見上げながら生きる時代、経営する時代は終わった。
坂の上から激しく下り、下りを終えて次にどこへ歩こうかと考えているのが今の日本であり、遅まきながらも上り坂ではない時代に対応すべく国は、必死になって構造改革をしているわけだ。

●こんな時代ではあるが、経営者の目線は下向きになる必要はない。
いや、なってはならない。むしろ一人ひとりの経営者の手腕が問われる時代になったわけで、「本物社長の時代」だ。

できれば日本を救うというほどの気概をもってほしいが、まずは一隅を照らす生き方をしたいものだ。
一隅を照らす人が100人、万人、億人になれば、日本は変わる。

誰かを追いかける時代は終わったのだ。