アメリカ、ニューハンプシャー州のモットーは「Live free or Die」だそうだ。
・・・自由に生きるか、さもなくば死を・・・。それほど自由にこだわっている州なのだという意思表示である。
それを知った大橋禅太郎は、自分自身と「すごい会議」のコーチに対するスタンスを変えることにした。以前は、「この組織ですごくなくなったらその時点で辞めてくれ」と言っていたが、「すごい or Die 」に変更した。
日本企業のほとんどが会議下手。会議上手の会社はほんのわずかしかない。特に意思決定を行動や実績に結びつけるための会議運営となると、鍛えられたファシリテーション能力をもった人材が必要である。ふつう、会社にそうした人がいる可能性は極めて低い。
それをサポートするのが「すごい会議」の公認コーチである。トップコーチになると億を超える年収になり、かけ出しのコーチでも中小企業の平均的な社長よりも年収は多い。それ以上の成果をクライアントの会社にもたらしているからだ。だから、「すごい会議」のコーチを辞めて他の仕事をするという猶予は与えず、「すごい or Die」で行くことにした。
しかし、ある日、そんな大橋自身がコミットしないおじさんになっているのに気づいたという。「社長席」というソファに座ってコミットメントという言葉をコーチに向かって連発しつつも、自らには何も要求していないことに気づいたのだ。
そもそも会社の社長というのは、自宅を抵当に入れて借金している時点ですでに会社にオールイン(全賭け)している。つまり、全責任を負っているわけだから、経営目標にコミットメントなんかする必要はないというおごりがあった。しかし、リーダーが目標にコミットせずに誰がコミットしようか。
大橋は、自分がコミットしないおじさんになっているのに気づいたとき、すぐに「すごい or Die」に自分も加わると宣言した。その夜、全員でパーティをした。そして、メンバー全員でホノルル・トライアスロンに参加すると決めた。「すごい会議」のコーチにとって、チームユニホームに「すごい会議」と印刷して泳ぎ、漕ぎ、走る以上は「すごい or Die」をレースでも実践しようと話し合った。レジャーでもなければ、ダイエットのための運動でもない。まったく泳げないコーチが 15人中 4人いたが全員でレースに参加すると決めた。
レースにおける「すごい」とは何か。それは走破タイムを 2時間 30分にすることだった。よし、やろう! そう大橋が乾杯のグラスを取り上げたとき、「いやぁ、きついっす。せめて 2時間 45分になりませんか」とひとりのコーチが言った。そのとき、チームの温度は一瞬で下がった。だったら 3時間でもいいのじゃない、いや、3時間半だって結構すごいよ・・・。
「俺が社長席に座っている間に、このチームがこんなに駄目になっていたとは・・・」大橋は自分を恥じた。その後、大橋のチームは 2時間 30分という大記録にむかって大変な思いをした。腹の出たコーチや運動音痴のコーチは一人もいない。そして目標未達でも平気でいられるコーチも誰ひとりとしていない。
そうした彼らの息吹と「すごい会議」のメソッドが両方得られる一冊がこちらである。
読み進めるほどに、お正月気分がどんどん抜けていくのがわかる。
世界で最も効果を上げている「すごい会議ワークブック 2014~2015」
(大橋禅太郎著、朝日新聞出版)
→ http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=4138