『ビジョナリーカンパニー2』で著者のジム・コリンズは、期待する人材像を五つの段階で定義した。
第一段階「有能な個人」
第二段階「組織に寄与する個人」(有能なチームメンバー)
第三段階「有能な管理者」(有能なマネージャー)
第四段階「有能な経営者」(有能な経営者)
第五段階「第五水準の経営者」(有能なビジョナリー経営者)
( )内は武沢の解釈
また、『七つの習慣』でコヴィ博士は、人の成長を三段階に分けてこう表現した。
1.「依存」 (誰かの助けが必要な段階)
2.「自立」 (自分のことは自分でできる段階)
3.「相互依存」(自立した人同士のコラボで実現できる新たな段階)
( )内は武沢の解釈
こうした考えをもとに、「有能な個人」や「有能なマネージャー」を詳しく定義すべく、わが社ならではのスキル体系を整備したいものである。スキルという言葉は「技能」と訳され、「ハードスキル」と「ソフトスキル」の二種類に大別できる。
ハードスキルとは、誰もが客観的に識別できる技能のことをいう。例えば、車の運転ができる、ブラインドタッチが出来る、何かの資格をもっている、英語の通訳が出来る、飛びこみ訪問で月間 1,000万円の販売が出来る、など、誰もがそのスキルの有無に関して異論を唱えることがないスキルである。
一方のソフトスキルは、ハードスキルほど評価基準が明確ではない。そのスキルの有無に関しては人によって意見が分かれることもある。例えば、コミュニケーション力がある、会議の進行がうまい、お客様を大切にしている、提案力がある、時間管理がうまい、などのスキルである。
そこで、社員に期待するソフトスキルを体系的に整理する必要が生まれてくる。社員全員に期待したいソフトスキルはなにか。また、営業や開発、技術、管理などの部門ごとのソフトスキルはなにかが分かるようになっていると教育も評価もやりやすくなる。
ひとつの事例としてシステム開発会社 R 社 が考案したソフトスキルをご紹介してみたい。
<R 社のソフトスキル>
1.自分自身に関するソフトスキル
(1)現状認識力
自己・自社・自部門の現状を客観的に認識することができる
(2)自己コントロール力
自分の気持ちや時間の使い方などを自らコントロールすることができる
(3)自己表現力
自分の考えを、周囲に対して適切に表現することができる
(4)ストレス耐性
困難な状況下でも、心身の安定を保ちながら業務に打ち込むことができる
(5)陽転思考
何ごともプラスに受け止め、言動や表情を明るくするよう努めている
(6)率直性
裏表や、ウソ・ホラがなく、基本的に正直である
(7)遵法精神
法律・規則・ルールを遵守し、仕事や生活に倫理観がある。また、他人との約束を守るという点においても同様の意識
がある。
(8)成長意欲
現状に満足せず、常に高いレベルを目指して自己啓発している
2.対人(対部下、対顧客)に関するコンピテンシー
(1)対人影響力
他人に影響力がある。それを自覚し、より良い影響を与えるような発言や行動がとられている
(2)対人感受性
相手の発言や表情や仕草などから、その気持ちを敏感に感じ取ることができる
(3)マンパワー結集力
目的の達成に向けて関係者を鼓舞しながら団結力を強めることができる
(4)顧客志向性
顧客を大切にし、顧客の関心に最大限の注意を払うことができる
(5)政治力
人や組織を動かすためのツボを心得、効果的な手だてを講じることができる
(6)強制的指導力
時には反対や批判があっても断固として必要な変化を周囲に要求することができる
(7)人材育成力
長期的な観点から部下を指導育成することができる
(8)人間関係構築力
人との新たな出会いを求めることや旧知の知人との交流を重んじ、関係を構築・保持できる
<今日はここまで。続きは明後日>