エフネスの岡田直樹社長(39才)は、自らを“運が良い”と言う。とくに人との出会いに恵まれ、資金調達面でもそれが幸いしたというのだ。さあ、昨日の続き。さっそくそのあたりをお聞きしてみよう。
「僕は運が良かった。仕事を面白がってやってるし、実際に面白くてしようがない。もともと失うものなど何もないので思いっきりが良いと自分でも思いますよ。
とくに運が良かったと思うのは、人との出会いに恵まれてきたことです。IATA公認代理店になって本当に資金さえあれば・・・と思っている時に、日本アジア投資の今原さんにお会いできた。ジィーッと僕のビジネスプランを聞いて頂けて、『それで幾らいるの?』って聞かれたときは本当にどう表現して良いかわからないほどうれしかった。とっさに『1億』って言いましたが、ポンと出してくれましたものね。」
日本アジア投資さんから出資を受けてからあとの銀行さんの態度が大きく変わりましたね。また、某銀行支店長との出会いもありがたかった。ものすごく積極的に応援して下さったのです。それと、現役員との出会いと入社も私にとっては本当に幸運でした。」
現在の事業内容は次のようになっている。対旅行会社向けビジネスが主力で、試験的に対消費者向けビジネスも始まった。
詳しくはサイトをご覧いただくとして、ポイントをここでご紹介しよう。株式会社エフネス http://www.f-ness.com
ギャランツアー事業部
国際航空券の発券代行。IATA公認として全国の旅行社を支援するほか、土日祝日も休まず発券しているので大手からの利用も 多い。
ポストラベル事業部
メールマガジン制作配信代行。ふんだんに記事ソースを提供する他、旅行会社が独自に出す紙媒体の編集代行も行う。すでに 100社以上と契約しているが、まだまだこれから伸びるという。
トラベルビジョン事業部
業界紙「トラベルビジョン」の発行。旅行業界に従事する人たちに向けたメールマガジンの配信。福利厚生サービス。
ジーキャリア事業部
旅行業界の有料人材紹介業と独立開業支援。サイトからでも人材登録や検索ができ、マッチングに成功してから料金が発生す る。インキュベーション(孵化)のための施設提供も行っている。
テイクオフ事業部
システム開発とWEB制作
ビートラベル株式会社 http://www.be-travel.com
消費者向けに設立した別法人。国際線ビジネスクラスに特化した格安航空券販売。社内起業第一号として立ち上げ、成果を出し ている。なぜかビジネスクラスだけは、顧客によって値段が異なっていた慣行を破り、一物一価の原則を持ち込んで話題となっ ている。
テロの影響などで旅行業界全体が大きく冷え込む中、どのようにして業績を維持しておられるのか秘訣を尋ねた。
「秘訣というよりは、自分たちがベンチャー精神を忘れずに仕事を面白がってやっていることがポイントだと思います。世間の常識みたいなものにとらわれずにアイデアを出しあっています。昨年はゲイ専門の旅行も企画して話題となりました。」
なるほど、多数派は眉をひそめても少数の顧客が熱狂的に支持してくれる、それがベンチャーなのかも知れない。
「ジーキャリア事業部では独立希望をもった人材が集まってきていますが、みんな面白いですよ。カリブ海情報に日本一強い男とか、メカジキ釣りの情報には日本一詳しい人たちが集まってきている。そうした人材はスペシャリストであて、経営力とは違う分野で強みをもっている。旅行業界はこれからどんどんこうした専門化の時代が始まる。一芸に秀でた人材が活きる道を資金面も含めてジーキャリアで支援してあげたいし、そうした活力がエフネス本体にも良い影響を与えています。失敗もありますが、それを恐れて挑戦を忘れては仕事は急につまらないものになってしまいますからね。」
むしろ不況だからこそベンチャーの出番だ。斬新な企画を打ち出し、失敗を恐れずに果敢に挑む精神がエフネスの強みか。
今後の経営目標は
「株式の公開に向けた体制作りを進めています。すでに情報開示という面では上場企業並みの水準に来ていると思います。関係者だけに公開しているサイトでは、詳細な決算内容や今後の事業計画を掲載しています。目標としては、従業員一人当たり経常利益 500万円の達成と、給与レベルを業界ナンバーワンにすることですね。」
最後にひとことどうぞ。
「絶えず押し寄せてくる変化の波に迎合、適応するだけでは中庸以下の結果しか望めません。よって、私は自ら変化を創造することを選択します。 具体的には、中小規模の旅行会社とのコラボレーションによる旅行業界内での第3勢力の形成です。旅行業界には現在約1万2000社の会社が存在しますが、その99%は中小規模の旅行会社です。そして、その中には一芸に秀でた社長が率いる極めてユニークな旅行会社や、小さなきっかけで大きく成長する可能性を秘めた会社が数多くあります。
これらの会社や、新しく起業される優秀な若手経営者のバックヤードを総合的にサポートし、それぞれの強みが如何なく発揮できる環境を創ることにより、資本や枠組みに頼らない、真のパートナーシップを築きます。そのために、お客様である旅行会社及びその先にある消費者の顕在・潜在双方のニーズに敏感であり続け、新たな事業への挑戦を続けます。」
株式会社エフネス http://www.f-ness.com