好きなことと得意なことをかけ算すると、世の中に存在しない独自の世界を作ることができる。
名古屋の社会保険労務士の北見さんは、中小企業の賃金制度に関する第一人者としてのブランドを築いてきた。それを武器に、社労士として多数の企業と顧問契約をむすび、経営を安定させてもきた。
北見式賃金研究所 http://www.tingin.jp/
その北見さんが一昨年、著書『織田信長の経営塾』を大ヒットさせた。労務や人事の専門家としてたくさんの著書をだしてきた北見さんにとって、歴史ものの本は初めてのこと。
同じ愛知県出身ということも手伝って、子供の頃から大の信長フリークだった北見さん。いつかは、自分の本業の分野からみた信長の天才ぶりを書いてみたいと思っていたそうだ。新聞記者経験もあるだけに、文章力には定評があった。
ところが織田信長をGoogle検索すると169万サイトもヒットする。
ライバルは多い。
しかし「織田信長 労務」で検索すると一挙に1/20に減って8万サイトに敵は減る。
さらに「織田信長 労務 賃金」にすると1,190サイトにまでなってしまう。
実は、その1,190サイトはすべて北見さんとその仲間のサイトばかりなのだ。つまり、織田信長という大人気キーワードを使っても、ライバル不在のマーケットがそこにあった、ということだ。
激務の合間をぬって、週末になると歴史小説家ばりに取材旅行を重ねた。そして書き上げた大作が『織田信長の経営塾』だったのだ。
得意分野「人事 労務 賃金」×得意技術「書くこと」×好きな分野「織田信長」=『織田信長の経営塾』、という図式だ。
そしてこの本、ものすごく売れた。出版社から執筆オファーが殺到し、秀吉、信玄もリリースした。ことごとくヒットさせ、この歴史シリーズは今後もリリースされる予定だという。
『織田信長の経営塾』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062123061/
私の友人の田口元さんの『百式』もそうだ。
得意分野「インターネット 英語 アメリカ事情」×得意技術「書くこと」×好きな分野「発想法 アイデア 楽しいこと」=『百式』となる。
一日ひとつドットコムカンパニーをメルマガとブログで紹介し、わずかな期間でネット界のビッグネームとなった。私も毎日必ずよむメルマガのひとつだ。
『百式』 http://www.100shiki.com/
ブログ『熱血田村社長のドタバタ奮闘日記』を読んでいると、日本の中小企業経営者経営者の日常がよくわかる。
とにかく忙しいし、よく仕事しているし、よく食べる。そしていろいろなことに悩み、壁にぶつかる。それでいて、ひとつひとつ解決していきながら強くなり、会社も良くなっていくという状況がこのブログを通して観察できる貴重なブログだ。本にしてほしいとも思う。
その田村社長とも懇意にさせていただいているが、先の図式によれば、得意分野「建築設計 デザイン 商業建築」×得意技術「書くこと」×好きな分野「会社経営 旅 時事問題 志」=『熱血田村社長のドタバタ奮闘日記』となる。
『熱血田村社長のドタバタ奮闘日記』 http://www.tamra-ar.com/mova/
「得意分野×得意技術×好きな分野」=独自の世界
あとは、それをどのようにしてビジネスにつなげるかを考えるだけだ。
だが、そちらは大してむずかしい問題ではないように思う。
まず大切なことは、あなたが今以上に独自の世界を作れるということに気づくことである。