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地獄

帰国早々に「地獄」の話を書くのもなんだが、冒頭の言葉を知ってからというもの、ダンテの「神曲」を読んでみたいという願望をずっと持ち続けてきた。
今回のフライトでついにその願望を実現したわけだが、フィレンツェ生まれのダンテって底が知れないほどの天才だ。なにしろ2ユーロ・コインのモデルになるような人であり、かのダヴィンチと並び称されるような詩人だということをご存知だろうか。

コインの肖像 http://www.mint.go.jp/kids/world3.html

ダンテの「神曲」などというと、超難解な戯曲というイメージがあるが、ダンテが巡った「地獄・煉獄・天国」巡りの旅のレポートであり、どちらかというと喜劇っぽく表現した文学作品である。

私はそのなかで最も有名な「地獄篇(Inferno)」を読んだわけだが、「Wikipedia」によれば神曲の地獄篇とはこんな作品だ。

以下、要所をかいつまんで引用する。ちょっとカタカナが多いが、がんばって通読していただきたい。

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神曲は地獄篇・煉獄篇・天国篇の三部から成る、全14233行の韻文による長編叙事詩であり、イタリア文学最大の古典とされ、世界文学史にも重きをなしている。

西暦1300年の春のある日、暗い森の中に迷い込んだダンテは、そこで出会った古代ローマの詩人ウェルギリウスに導かれ、地獄・煉獄・天国と彼岸の国を遍歴して回る。ウェルギリウスは地獄の九圏を通ってダンテを案内し、地球の中心部、魔王ルチフェロ(サタン)の幽閉されている領域まで至る。

<中略>

ダンテはヴェロナのパトロンであるカン・グランデへの書簡で、人生における道徳的原則を明らかにすることが『神曲』を執筆した目的であると記している。

『神曲』の由来

イタリア語の原題は、「神聖なる喜劇」であるが、 邦訳名「神曲」は、森鴎外がアンデルセンの翻訳『即興詩人』の中で用いた。

<中略>

地獄界の階層構造は以下のようになっている。
・地獄の門 「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」
・地獄前域 …無為に生きて善も悪もなさなかった亡者は、地獄にも天国にも入ることを許されず、ここで蜂や虻に刺される。
・アケローン川 …冥府の渡し守カロンが亡者を櫂で追いやり、舟に乗せて地獄へと連行していく。
・第一圏 辺獄(リンボ) …洗礼を受けなかった者が、呵責こそないが希望もないまま永遠に時を過ごす。
・第二圏 愛欲者の地獄 …肉欲に溺れた者が、荒れ狂う暴風に吹き流される。
・第三圏 貪食者の地獄 …大食の罪を犯した者が、ケルベロスに引き裂かれて泥濘にのたうち回る。
・第四圏 貪欲者の地獄 …吝嗇と浪費の悪徳を積んだ者が、重い金貨の袋を転がしつつ互いに罵る。
・第五圏 憤怒者の地獄 …怒りに我を忘れた者が、血の色をしたスティージュの沼で互いに責め苛む。
・第六圏 異端者の地獄 …あらゆる宗派の異端の教主と門徒が、火焔の墓孔に葬られている。
・第七圏 暴力者の地獄 …他者に対して暴力をふるった者が、暴力の種類に応じて振り分けられる。
第一の環 隣人に対する暴力 …隣人の身体、財産を損なった者が、煮えたぎる血の河フレジェトンタに漬けられる。
第二の環 自己に対する暴力 …自殺者の森。自ら命を絶った者が、奇怪な樹木と化しアルピエに葉を啄ばまれる。
第三の環 神と自然と技術に対する暴力 …神および自然の業を蔑んだ者、男色者に、火の雨が降りかかる。
・第八圏 悪意者の地獄 …悪意を以て罪を犯した者が、それぞれ十の「マーレボルジェ」(悪の嚢)に振り分けられる。
第一の嚢 女衒 …婦女を誘拐して売った者が、角ある悪鬼から鞭打たれる。
第二の嚢 阿諛者 …阿諛追従の過ぎた者が、糞尿の海に漬けられる。
第三の嚢 沽聖者 …聖物や聖職を売買し、神聖を金で汚した者(シモニア)が、岩孔に入れられて焔に包まれる。
第四の嚢 魔術師 …卜占や邪法による呪術を行った者が、首を反対向きにねじ曲げられて背中に涙を流す。
第五の嚢 汚職者 …職権を悪用して利益を得た汚吏が、煮えたぎる瀝青に漬けられ、悪鬼から鉤手で責められる。
第六の嚢 偽善者 …偽善をなした者が、外面だけ美しい金張りの鉛の外套に身を包み、ひたすら歩く。
第七の嚢 盗賊 …盗みを働いた者が、蛇に噛まれて燃え上がり灰となるが、再びもとの姿にかえる。
第八の嚢 謀略者 …権謀術数をもって他者を欺いた者が、わが身を火焔に包まれて苦悶する。
第九の嚢 離間者 …不和・分裂の種を蒔いた者が、体を裂き切られる。
第十の嚢 詐欺師 …錬金術など様々な偽造や虚偽を行った者が、悪疫にかかって苦しむ。
・最下層の地獄、コキュートスの手前には、かつて神に歯向かった巨人が鎖で大穴に封じられている。
・第九圏 裏切者の地獄 …「コキュートス」(嘆きの川)と呼ばれる氷地獄。同心の四円に区切られ、最も重い罪、裏切を行った者が永遠に氷漬けとなっている。裏切者は首まで氷に漬かり、涙も凍る寒さに歯を鳴らす。
第一の円 カイーナ(Caina) …肉親に対する裏切者 (旧約聖書の『創世記』で弟アベルを殺したカインに由来する)
第二の円 アンテノーラ(Antenora) …祖国に対する裏切者(トロイア戦争でトロイアを裏切ったとされるアンテノールに由来する)
第三の円 トロメーア(Ptolomea) …客人に対する裏切者 (旧約聖書外典『マカバイ記』に登場する裏切者トロメオに由来するか)
第四の円 ジュデッカ(Judecca) …主人に対する裏切者 (イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダに由来する)

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いやはや、凄い。
宗教文学としても高い評価を得ている「神曲」だが、要するにダメ人間が落ちる場所としての「地獄」を見事に描いている。その凄惨さは、芸能レポーターのごとく、まるで見てきたかのように表現している。
しかも「神曲」の場合、挿し絵の評価も高い。絵と合わせてご覧になれば、「絶対こんな場所行くものか!」という気分になる。

では、経営者が地獄へ行く時ってどんな時だろう。ダンテを見習って書いてみたい。

<明日に続く>