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Myカタログ発表会

呉竹光学株式会社(仮名)の醍醐社長(仮名)は、20年前から毎年秋の連休を利用して二泊三日の社員合宿を定期開催してきた。
合宿の初日は経営理念や方針を実践するための行動計画づくりの一日だ。
ユニークなのは二日目で、朝から「Myカタログ」発表会の日だという。

「Myカタログ」の内容は各自の自由だが、次の項目だけは必ず盛り込むようになっているという。

・My ミッション(個人の志)
・My キャリア
時系列での私の歩み、特徴のある経験や実績
・My profession
誰にも負けない分野の開発計画
・My Vision
20年後の自分をイメージ画像を使って表現する

この日のために精魂込めて作り上げてきた「Myカタログ」をお披露目するときなのだ。
一人7分の発表時間+3分間の質疑応答で、社員40名全員が発表を終えるまでに7時間以上かかる。だが誰一人この7時間が長いと感じることがないほど、各自の「Myカタログ」は充実し、発表内容も堂々たるものだ。

それもそのはず、社名にちなんだ「呉竹賞」(最優秀者)を受賞すると、ベネチアングラスの盾に副賞として50万円の賞金がもらえるのだ。
しかも昨年、一昨年と該当者なしだったため、今年の受賞者は繰越金と合わせて150万円もの現金がもらえるのだ。

先日、非凡会でお目にかかった醍醐社長。
ご自身の「Myカタログ」も見せていただいたが、実に楽しげな内容だった。社内のデザイナーに “アルバイト” して書いてもらったというマンガが駆使され、全ページフルカラーで美しい。時間をかけ手塩にかけた「Myカタログ」は手放せないし、人に見せたくなるものだという。

醍醐社長の談話

・・・25年前に今の会社を起こしたころ、産業能率大学出版部から出ていたナポレオン・ヒル著の『成功哲学』を読んで感動しました。その本のなかに転職を有利にする「私のカタログ」という記載があり、それを社内に応用しようと考えたのです。最初のうちは、社員数も少なくて盛り上がりも乏しかったのですが、年々社員の実力と比例するように「Myカタログ」のレベルも向上し、賞金額もアップしてきて、今では社内最大のお祭りになっています。お客さんの会社から合宿を見学したいという希望も多くなっているのですが、これだけは私と社員とのサシの勝負としたいのでご勘弁願っているのです。
・・・
と誇らしげ。

醍醐社長の喜びは、独立するために退職した社員や、転職していった社員の多くが、「Myカタログ」発表会にOBとしてゲスト参加してくれることだという。そうしたOB社員の中には、今でも呉竹光学とビジネスしている会社の経営者も少なくないそうだ。

いずれにしても、レベルの高い「Myカタログ」を全員が作れるようになるには、毎年こうした発表会があり、きちんと評価される場があるという点がカギだと思う。