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原則を知る

ドラッカーさんが『現代の経営』の中で書いた三人の石工の話が私は好きだ。とてもわかりやすい事例なので、「がんばれ社長!」では三度目となるが、ご紹介したい。

三人の石工の話

ある建築現場で、何をしているかを聞かれた三人の石工のうち、一人めの男は「これで食べている」と答えた
二人めは手を休めずに「腕のいい石工の仕事をしている」と答えた
三人めは目を輝かせて「国で一番の教会を建てている」と答えた

というのだ。

いかが?
シンプルな寓話だが奥深い。
この三人は、まったく同じ作業をしているのだが、目的はいずれも違っていたのだ。
石工だけではない。タイトルを「三人の社長」と書き換えても同じストーリーになる。
当然、ひとつの会社の中で働く社員の目的もそれぞれ異なっているかもしれない。

ベクトルを合わせるという表現があるが、それは目標を共有化するというよりは、目的を共有したいものだ。そのためには、経営者が自社の目的を明確にせねばならない。

目的を明確にするとは、原則や基準を明らかにすることでもある。
心理学者のフロイトは、人は何にもとづいて動くかを次のように説明している。

快楽原則・・・欲望欲求の感情で動くこと
現実原則・・・自分の内側がわかり、外の世界がわかり、自分をコントロールして動くこと
価値原則・・・価値観や道徳観、理想などからみてどうか、という基準で動くこと

どれが正しい原則なのか、という問題ではなく、自分は今どれで、これからはどれにしたいか、そのために何を変えるかを明らかにしよう。
そして、原則通りに動けるようになることと、原則そのものを上位のものに発展させていくことを考えよう。それが人としての成長だと思う。