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続・定年制度とどう向き合うか

      2016/07/04

国によって定年制度は異なるが、韓国では昨日、60歳定年制を段階的に義務化することを骨子とした法案が可決された。今後、正式に法案が成立する見通しで、4~5年かけて韓国ではすべての企業と自治体で 60歳定年制が導入されることになる。財界からは、「企業の負担が増える」との声が上がっているが、これは昨年 12月の大統領選挙の際、与野党候補者がともに公約として掲げていたもの。国民のニーズといえよう。

従来の韓国は 55歳前後を定年とする会社が多かったが、実質上は、40代で退職する社員が多い。企業が競争力を確保するために、退職勧告をすることが多いからだという。韓国でも急ピッチで少子高齢化が進んでいることから、今後は 60歳まできっちり働く社会になりそうだ。

中国には「労働保険条例」というものがあり、定年退職が男性が 60歳、女性幹部が 55歳、女性労働者は 50歳と定められている。しかし、この条例が施行されたのは 1950年代のことであり改正の必要性が指摘されてきた。経済が発展し、平均寿命も延びてきたことから、定年退職の年齢を引き上げるのは良いことだ、という新聞報道に対し、意外にも中国人の 93.7%が定年延長に反対した。その最大の理由が、「若年層の雇用に悪影響をもたらす」というものだったらしい。

定年延長が世界のトレンドである。しかしその結果、若者から仕事を奪うということは避けたいものである。会社にとってもっとも都合の良い人材を使いたいもの。法律やルールで拘束するのは最小限にしてもらいたい。企業の理念と意思によって定年制度は自由に決めて良いのではないだろうか。

そんな中、昨年、民主党政権時にあるプロジェクトが結成されていた。内閣官房国家戦略室のプロジェクトチーム「国家戦略会議フロンティア分科会」である。そこでは何と、もっともっと雇用を流動化させようと「40歳定年制」を提唱した。同会がまとめた 2012年 7月付けの報告書では、企業内人材の新陳代謝を促すために、企業に従業員の定年年齢を最短で 40歳まで引き下げる早期定年制を認めるべきだとしている。

国策とは真逆の政策提言で波紋を呼んだ。

その報告書では、2050年の日本のあるべき国家像を構想し、その中において雇用と労働分野が改革案の大きな柱になると捉えた。勤労形態の変革、女性の就業の促進、生活保護などのセーフティネットの見直しといったテーマとともに、「企業内の人材の新陳代謝」が重要と述べ、その施策の一例として 40歳定年制を提唱したのである。

まず、定年制そのものを廃し、雇用契約をすべて期限付きにする。それによって転職や出向などが活発に行われる社会をつくり、企業には、社員の再教育の義務を課すなどして、何歳になっても成長してもらう。業種業態によっては 40歳定年制や 50歳定年制を採用する企業があらわれても良いのではないかという。

年金ありき、社会保障制度ありき、から逆算した定年制度の設計では国力を損なうという考え方である。少々粗っぽい点はあるものの、私はそちらの考え方に一票を投じたい。

「40歳定年制」という衝撃的な言葉だけがメディアにクローズアップされたが、その主旨は定年制を廃止し、雇用契約を有期とすることにある。その後、政権が移行し、この提言がどのように取り扱われるのか注目したい。

★40歳定年制 http://jyoshige.livedoor.biz/archives/6447423.html

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