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定年制度とどう向き合うか

面接の時に「あなたの年齢はいくつ?」と尋ねることは禁じられているのがアメリカ。履歴書に生年月日や年齢を記入する欄もないので、採用が決まるまでは企業側は一切知ることができない。

年齢によって採用・不採用が決まることもなければ、入社後の昇進昇格人事も年齢が判断材料になることもない。もちろん年齢によって会社を辞める「定年制」もない。何歳まで働くかは国や企業が決めるのではなく、あくまで本人である。

イギリスでは一昨年、65歳定年制を廃止した。公的年金の財源に苦しんでいるイギリスは、働けるかぎり現役で働いて収入を得てほしい、という国の意向を形にした。ドイツやフランスは 65歳定年制である。

日本はどうだろうか。基本的にはイギリスの後追いをしている。日本では、平成 16年 6月に成立した「改正高年齢者雇用安定法」によって、企業は次の三つのうちのどれかひとつを実施することが義務づけられた。

1.定年制度をなくす
2.定年を 65歳まで引き上げる
3.定年後再雇用制度(継続雇用制度)を導入する

どれを選ぶかは会社の自由です、とした。それから数年経たのち、厚労省が実態調査を行ったところ、
1.定年制度をなくした会社・・・・・・・・・2.8%
2.定年を 65歳まで引き上げた会社・・・・14.6%
3.定年後再雇用制度の導入をした会社・・・・82.6%

という結果が出た。

この時、なぜ「3」が人気だったか。それは企業にとって都合が良かったからである。いったん定年という区切りを迎えていただくことで役職や年収についてはリセットできる。しかも、能力や勤務態度など、企業が定めた条件を満たす人だけを再雇用する、という抜け穴があったからだ。能力や勤務態度が満たない人は再雇用しない自由が残っていた。

ところが今年 4月1日から施行された改正・再雇用制度では、本人が希望すれば全員を 65歳まで再雇用する義務がある。これに違反すれば、企業の実名公表などの罰がある。

世界の先進国が直面している高齢化の問題は、会社経営のあり方にも大きな影響を与えている。孫が何人もいるような高齢者を雇用し、若くてハングリーな国々の製品やサービスと互角以上に戦っていかねばならない。その挑戦は類例がないだけに、経営者の手腕にかかっている。あなたの会社の経営計画書に「高齢化に対する方針」というページが加えられるべきかもしれない。

この定年制問題、中国や韓国ではどのようになっているのだろうか。実はこれまた異彩を放っていて興味深い。明日もひきつづき、この問題を考察してみよう。

<明日につづく>