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クロージングノート

2006年に『デスノート』という映画が公開された。藤原竜也と松山ケンイチの出世作の一つでもある。そのノートに人の名前や死に方を書くとその通りになるという恐い物語で、大ヒット作となり続編も作られた。

興業収入 28億円、220万人がこの映画を観たという。その中のひとりに、子安恒夫君(仮名)がいた。彼は当時、社会人一年生で、ハウスメーカーの営業社員としてがんばっていたのだが、営業目標の未達成に苦しんでいた。映画を見たその帰り道、彼は文房具店に立ち寄って一冊のバインダーノートを買ってきた。そしてタイトルに「デスノート」とは書かず、「クロージングノート」と書いた。

彼はクロージングに困っていたのだ。いつもツメが甘く、もうあとワンプッシュすれば契約できるのを逃がしていた。

彼は他人思いの優しい性格で、何かを主張するようなことがない。その優しさが営業でアダになることが多かった。そんな自分を克服するために「クロージングノート」を作ったのだ。

最初のページに彼はフローチャートを書いた。「ノーセールス・フローチャート」とタイトルにある。どのような理由で営業が成約できないかを体系的にしたものだった。そこには次のような事柄が書いてある。

<量の不足>
・見込客の不足
・電話本数の不足
・ポスティング数の不足
・訪問数の不足
・アポの不足
・面談数(商談数)の不足
・クロージング(販売締結)数の不足

<質の不足>
・A ランク見込客の不足
・紹介獲得率の不足
・アポイント獲得率の不足(電話技術)
・商談力の不足
・クロージング率の不足

<その他の不足>
・商品知識の不足
・目標意識の不足
・顧客心理の理解不足
・雑談力の不足
・自社商品に関する信念の不足
・クロージングに対する信念の不足

これらすべてが子安君にとって重要な課題だったが、特に重要な課題は次の二つだと認識していた。

1.クロージング率の不足(クロージング技術の不足)
2.クロージングに対する信念の不足(心構えの不足)

彼はこの二つの問題を克服するためのこの「クロージングノート」をフル活用すると決めた。後にその日、2006年 6月 25日(日)は彼にとっての「クロージング記念日」になるのだが、ノートの詳細は明日に。