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大地の塩

坂本龍馬は生前語っていたと言う。「たとえどぶの中で、のたれ死にするようなことがあっても、前向きで死にたい。ふとんのなかでぬくぬくと大往生するようなことはしない。」と。
そしてその通りになった。

その話をしたら友人は、武沢さんはどんな最後が良いの? と聞く。

若干は酒の勢いもあったが、「暗殺」と答えておいた。ぶっそうな話だが、まんざら冗談でもない。男子たるもの、絶えず命を付けねらわれるようなことをしていないと生きてきた価値がないではないか、と思うわけだ。

私たち経営者は、何をしなかったかではなく、何をしたかで評価される。会社を破綻させることなく生き延びることに価値があるのでなく、成し遂げた何かが世の中に価値が必要だ。そしてその価値は、一部の人に理解され支持されれば充分なのだ。

逆からみれば、人を愛し、人から愛される人間になるためには、どれだけ嫌悪され、どれだけ人から反発を受けたかに正比例する。全国の多くの方から「良い人」と思われても、それは「明石家さんまさんが好感度一番」というレベルと変わらない。人気が商売のタレントならそれも結構だが、経営者業は人気とりが商売ではない。

顧客や従業員、地域や社会全体に何らかの積極的貢献とインパクトを与える人物になるためには、既存勢力に対して果敢に挑み、敵対し、そのライバルからとことん嫌われ、嫉妬され、広がる抵抗勢力に対応しなければならない。

キリストは伝導に向かう弟子たちに向かい、「あなた方は大地の塩です。」といって送り出した。大地の砂糖ではなく、大地の水でもない。大地にとっての塩なのだ。