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会社経営とコーチング

Rewrite:2014年4月1日(火)

一流プロスポーツ選手や五輪のメダリストには専属コーチが付いていることが多い。例えば全盛期のタイガーウッズにはブッチ・ハーモン氏が、陸上金メダリストのモーリスグリーン選手にはジョン・スミス氏が、マラソン金メダリストの高橋尚子選手には小出義雄氏が、という具合である。

コーチングの解説書によれば、コーチとは本来「馬車」を語源とし、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味から来ているという。現在一般的に使われている「コーチ」とは「目標達成のサポートをする人」を指す。

「コーチ」といえば日本のプロ野球のそれを思い出すが、どうやらイメージは少し違うようだ。プロ野球のコーチの場合は大半が実績のあるOBが行う。つまり、スキルの高い人(高かった人)が、低い人に対して行う指導をコーチと考えているのがプロ野球だが、そうなるとタイガー・ウッズのコーチなど誰にも出来ないことになってしまう。

プロのコーチが必要なのはスポーツに限ったことではない。ビジネスでも同様で、1980年代から「コーチング」と呼ばれるサービスが注目されてきた。
そして、企業内においても良きリーダーは良きコーチであるべきと企業内コーチの養成も盛んに行われてきた。
とりわけ米国企業では、コーチングの技術を導入するところが多い。

ある米国企業では、社員へのトレーニングのためにインタラクション(相方向の会話)によってコーチングを進める。例えば経営方針を伝える際にも、社長が一方的に語るだけでなく、部下に自分の言葉で言わせるのだ。方針発表会で聞いて理解できたことでも、いざ言おうとしたらうまく言えないことが多い。ましてや、「やってみて」と言われては行動できないことが多いのだ。

上司とのインタラクションによる会話は、相手が漠然と理解していたり、考えていることを、はっきりさせるガイドを果たす。また、知識や情報として知っていることを自分の目標や技術につなげるための方法を導き出すのもコーチの役割だ。従って、良きコーチは、部下が考えるべき事柄に対しては、自分の考えを押しつけない。それどころか、考えることもしない。適切なタイミングで適切に質問を投げかけるだけなのだ。

GEを退任したジャックウェルチ氏は「引退後、様々な会社のCEOのコーチをするコンサルタント会社を始めたい」と語っている。今やスポーツでもビジネスでもコーチングの技術が求められているのである。