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キャッシュフローに強くなる その3

Rewrite:2014年3月22日(土)

今日はフリーキャッシュフロー(C/F)がマイナスの会社がやるべき手術について考えてみたい。
フリーC/Fとは、「営業C/F+投資C/F」のことであった。これがマイナスということは、以下の原因によるものだ。

1.営業収入より営業支出の方が多いので赤字決算になっている。
2.売上債権の増加が買掛債務の増加を上回っている。要するに支払いが先行し、回収が遅れる構造になっている。
3.売上を上げるために、大きな在庫を必要とする構造になっている。
4.売上を上げるために、減価償却以上の設備投資が毎年欠かせない構造になっている。

1.について
がんばれば黒字になるものなのか、がんばってもダメなのかの判断がむずかしい所だ。延々と赤字を続ける会社の考え方には共通点がある。それは、「自分たちの努力不足だからもっと真剣にがんばろう」というものだ。危機感をもってがんばるのは結構だが、何かを変えなければいけない。売り物・売り先・売り方のいずれも変えずに、努力だけ強化しても結果はでない。すくなくとも一年以上も月次で黒字にならない場合は、構造的なものとみて手術すべきである。手術はの方法は多種多様だが、人の解雇や減給も含めた手術も検討すべきである。全員の雇用を維持することにこだわりすぎて、全員が夢をもてない会社にしてはいけない。なにより、赤字で納税ができないという社会悪のほうが解雇より大きな問題と考えたほうがよい。

2.について
回収に要する日数を短縮することと、支払いの日数を延ばす努力の両面作戦が必要だ。前金や着手金をいただく、現金と手形の比率を改善できないか交渉する、手形の日数を短縮できないか交渉する、請求業務や入金確認が社内できっちり出来ているかを再点検するなどが回収改善へのアプローチだ。支払い延期の努力は、その逆だ。

3.について
小売業や卸売業などは、在庫をしぼる努力が必要となる。成長著しい会社では、在庫を増やす努力をしているところもあるが、一般的には在庫効率は年々高めなければならない。在庫を増やすのならそれ以上の売上の伸びを、売上が伸びないのなら在庫縮小を必要とする。製造業や建設業などでは、在庫に相当するものとして仕掛品や仕掛工事がある。工程短縮や工期短縮はそのままC/Fの改善につながる。

4.について
急成長段階の企業では投資先行型の経営によって、売上の伸びの割には、利益が伸びないということがおきる。それどころか、初期のネットカンパニーのように売上が伸びるほど投資がかさんで赤字が増えるという時期もある。しかし、それらはごく一部の例外であって、売上高の伸びがさほど期待できない場合には、営業C/Fの範囲内での投資に抑えるべきだ。

以上申し上げたことは、C/Fがマイナスの場合にやるべきことのポイントである。
理論・理屈通りに経営が良くなるとは思っていないが、トップとしては、こうした原理原則を頭に入れて決断しないと大変なことになる。過去の景気循環では、悪いときには耐えていれば、やがて良くなった。しかし、今は耐えているだけでは、「放漫経営」のそしりを免れないのだ。

最後に。具体的にキャッシュフロー経営を取り組もうという会社は、キャッシュフローの関連書籍を勉強されるか、お付き合いのある税理士・会計士の方から資料を入手されると良い。

私が分かりやすかったのはこの一冊である。

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