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「セアグートカード」の松田さん

      2014/08/04

Rewrite:2014年3月27日(木)

「武沢さん、私のシャツを見てくださいよ」と松田龍太郎さん。ドイツで物づくりを教えているコンサルタントである。その胸元をみたら、左と右の両方に胸ポケットが付いている。Y シャツとしては珍しいと思う。ドイツ人技術者たちをその気にさせるために特注したそうで、そこに四種類のカードを入れるのだそうだ。

ドイツの国技ともいわれるサッカーになぞらえてイエローカードとレッドカードを持ち歩く。ただし、それだと警告と退場しかないので、褒めるための「グートカード」(英語でグッドカード)と「ゼアグートカード」(英語でベリーグッドカード)を作ったのが松田さんの知恵である。

・ゼアグートカード(非常に素晴らしい)…濃い緑色
・グートカード(素晴らしい)…うすい緑色
・イエローカード(良くない)…黄色
・レッドカード(ダメ)…赤色

というわけである。このカードを指導先の製造現場で作業員達に大きな態度で示すのだそうだ。大のおとなが「ゼアグートカード」をもらって子供のような笑顔をこぼしたり、「レッドカード」をもらって肩を落としたりする。言葉だけのコミュニケーションよりインパクト絶大といえよう。

製造現場では大声で話すだけでなく、こうした視覚に訴えるカードがあるとコミュニケーションがうまくいく。しかも、ドイツではサッカーが日常生活の一部分になっているので、こうしたカードが親しみやすい。

イエローとレッドのカードはスポーツショップで売っているが、濃い緑とうすい緑のカードは市販していない。そこで松田さんは手造りすることにした。カードに適した丈夫な素材を買ってきて、自ら色を塗った。手間はかかったが今となっては手放せないカードになっているという。この四種類のカードを 常に Y シャツの左右ポケットに入れて持ち歩くというわけだ。

ドイツ企業にものづくりをコンサルティングされている松田龍太郎さんは鳥取出身。今はデュッセルドルフに住まいがあり、ドイツを中心にヨーロッパ全土で活躍中である。
最初のころは、「どうして日本人からものづくりを教わる必要があるんだ」と誇り高きクラフトマンたちから訝しげな目で見られたという。ドイツ人相手にコンサルティングの仕事をしてご飯を食べるためには圧倒的な情熱と、最後にはジョークと笑いしかない、と松田さんは自らをショービジネスのパフォーマーと位置づけた。

ものづくりに関する深い造詣をベースに、表面は熱いパフォーマーを装うことでドイツ人の心をつかんでいった松田さん。「自分のコンサルテーションは、ショーのようでなければならない」と松田さんはかけ出しのころ、人気落語家を鳥取に招いて笑いの研究をしたという。
当時、絶大の人気を誇っていた桂米朝や枝雀を招いた。落語の高座を開催したあと、落語家を宴席に招待する。実はそこからが松田さんの研究の始まりだ。落語家がご飯を食べ、酒を飲むとき、どのように振る舞うのか注目した。米朝は高座のときも宴席でもまったく様子が変わらない。要するにいつも飄々としておもしろい。ところが枝雀は高座でこそ聴衆を爆笑させるが、高座を降りたとたんにまじめ一徹で冗談をいわない。「高座にあがっているときが枝雀」というポリシーでもあるのだろうか。

松田さんは両極にあるこの二人からプロフェッショナリズムを学んだという。
四種類のサッカーカードもその知恵のあらわれであろう。

 

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