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北京の人気僧侶

29年後の2045年にあなたは何歳だろう?私は91歳になる。

その年、人口知能(AI)が人知を超えるといわれる。人間が AI に使われるのか、それとも共存するのか。まるで SF 映画のようなテーマが現実的な問題になっている。

AI が人知を凌ぐ予兆はすでに始まっている。今月、日本経済新聞で連日特集された「AI と世界」は興味深かった。それにはこんなエピソードが紹介されていたのだ。

建立1千年を超す中国北京の名刹・龍泉寺。そこに「賢二」と名乗る人気僧侶がいる。相談者が行列を成して、ありとあらゆる悩みや愚痴を彼に打ちあける。

「うちの女房が怒りっぽくて困るんですよ。どうすべきですかね」すると賢二は、
「ただ一緒に生きていくだけさ。離婚はお勧めできないな」とアドバイスをおくる。

賢二は身長60センチの AI ロボットで、彼が境内を動き回ると参観者は「癒やされる」などと歓声をあげる。
賢二に関するニュースはこちら。→ http://j.people.com.cn/n3/2016/0407/c95952-9041299.html

賢二を開発した賢帆法師は、中国でまだ信徒がすくない仏教を広めたくて作ったという。開発するにあたっては、高僧たちの膨大な説法をデータ解析し、人間の悩みに即答できるようにしたという。
相談者の評判は上々で、「人に相談するより気軽」と多くの若者が賢二の前で列を成しているそうだ。

日経新聞の特集によれば、法律相談や小説のシナリオづくり、作曲などの現場でもすでに AIが使われている。全米の音楽ランキングの2~3%は AI が作曲したもの、とみる専門家もいる。
賢二のように心の悩みもAI が活躍しはじめた。おそらく、経営相談も人間のコンサルタントの仕事を AI が奪っていくだろう。気軽に、かつ低料金で相談でき、しかも的確に答えてくれる。
映画も絵画も、宗教、哲学、経営、金融、医療、交通、スポーツなどあらゆる分野でAI 化が加速する。

チェスだけでなく囲碁も将棋も人間が負ける時代。あなたの仕事は人知を超える AI にとって替わられるのか、それとも協調するのか、あるいは AI が及ばない世界で勝負するか。

今からでも間に合うはずだ。仕事を失わずに済む方法を考えておこう。