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あらゆるケースを想定した経営

●薬がない、木材やセメントなどの建材が足りない、生活用品が不足している、食品がない、水がない、ガソリンや灯油がない、重機がない・・・、被災地から届く怨嗟の声。

●物資によっては数ヶ月以上の備蓄(在庫)があるので道路さえ復旧すれば供給に不安はない。だが、物によってはすでに国内在庫が涸渇し、海外から緊急輸入せねばならないものもある。

●たとえば、パナソニックや富士通、日立マクセルでは乾電池の増産体制を整え、すでにフル稼働が始まっている。それでも需要には追いつけず、海外工場で作った製品を緊急輸入するという。

●さらに、トイレットペーパー、紙おむつ、パン、レトルト食品、水なども各メーカーは増産につぐ増産体制に入った。
今後、インフラ復旧のために道路、建築、橋梁、セメント、重機、住宅などの各メーカーはしばらくの間忙殺されることになるだろう。

●原子力発電の関係者や自衛隊、消防、警察、それに米軍兵士までもが被曝しながら復旧作業を続けている。それは時間との戦いだ。

民間企業もこの際、採算はあとまわしにして被災地のため、国のために両肌ぬいで働こう。もちろん赤字で受注する必要はないが、利益率は普段より断然低くても構わないはずだ。もしこの機に乗じて便乗値上げする輩などがいれば、即刻退場させよう。国をあげての非常事態なのだから。

●東京証券取引所では、神戸の震災のあとに値上がりした業種が何だったかを調べ、今週、早くもそうした会社が買われ始めた。

大手ゼネコン4社(鹿島、清水、大成、大林)がストップ高を続け、大和ハウス、積水ハウス、日清食品、東洋水産、住友大阪セメント、太平洋セメントなども物色された。思惑買いとして「原発放射能関連」でマスクや長袖の衣服が売れるだろうと、ユニチャームや一部の繊維メーカーなどにも買いが入っている。

●その反対にすでに深刻な打撃を受けている業界がある。

映画や音楽、ゲーム、旅行などの娯楽産業は自粛や発売延期が相次いでいる。なかでも予約キャンセルが続く旅行業界。
観光名所・日光からは観光客が消えてしまったようで、23年前の昭和天皇崩御による一斉自粛の時でも今よりは観光客がいたそうだ。

→ http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/saigai/miyagi-jishin2011/20110317/476435

●旅行業でダメージを受けているのは首都圏だけにとどまらず、九州や沖縄など日本中がその影響を受けている。原発不安によって外国人旅行者が日本を避けているため。
こうした事態をうけて連合会は「痛手には違いないが被災地のことを考えたらそんなことを言っておられない」と早期復旧を願っている。

場所によって深刻度こそ異なれど、もはや日本中が被災地の様相だ。

●意外なところでは、地震の影響で米国アップルの株価が下落し2日間で200億ドル(約1兆5600億円)も時価総額が目減りした。

今回の巨大地震の影響で「iPad2」の販売が延期されたのと、日本からの部品調達が懸念される事態になり、証券アナリストが投資判断を引き下げたのが理由だという。それにしても巨額の”被害”だ。

●世界は一つだ。あなたの会社も今回の地震と無関係でいられる保証はどこにもない。大なり小なり影響を受ける。早めに考え、手を打っていこう。

<自社を守るため>
・復興需要に乗って増産増収できるとすればそれは何か?
・災害による影響で、減産減収するとすればそれは何か?
・それらはどの程度の金額になるか
・それを受けてどのように対処するか

<被災地の応援のため>
・今すぐできることは何か
・時間をおいてできることは何か
・本業と関係することでできることは何か
・本業と関係しないことでできることは何か
・一人(一社)でできることは何か
・誰かと一緒にできることは何か

●あらゆるケースを想定し、あらかじめ考え、社内でも議論しておこう。何が起きても動じない心をもち、打つべき手は早め早めに打っていこう。混乱期には普段以上に社長の強いリーダーシップが求められているのだ。

今日で地震発生7日目。
悲しんだり怒ったり、不安がったりしている段階は終わった。経営をやろう。