未分類

吉岡レター


●今日のメルマガは京都の吉岡社長が送ってくれたメールをほぼそのままご紹介したい。その経緯はこうだ。

8月のある日、私は過去のメルマガで紹介してきた名言の中から1043個を選んで吉岡さんにメールした。

すると二週間後、彼がご自分の決意をメールして下さったのだが、それが名言のつなぎあわせ文章。実に良くできているので許可を頂き、ここに掲載する次第。

—————————————————————-

◆「過ちて改むるに憚ることなかれ」これは、孔子の名言です。

けっして失敗そのものを恐れるのではなく、失敗から学び、改めることが大切。ふつう、失敗は資本の欠乏よりは、エネルギーの欠乏から起こります。事業に必要なのは、資本や能力ではなく、やり遂げる決心である由縁です。ですから、選択の失敗を恐れてはいけません。
失敗なしには選択能力は身につきませんし、選択の失敗も、選択能力を養う授業料だと思えば安いものです。

◆経験した失敗は、人生観を見いだすための月謝と思えば安いものでしょう。災難の起こるたびに、これをよい機会ととらえ、それを変えようと努力し続けたいもの。本当の人間の価値は、すべてがうまくいって満足しているときではなく、試練に立ち向かい、困難と戦っているときに分かるからです。

◆そもそも、この世に難関はないのかもしれません。難関だと思う人がいるだけです。ですから難関を回避することで快楽を得ようとするのではなく、難関に立ち向かう努力そのもののうちに快楽を見いだすことでいつも幸福でいられるのだと考えます。

◆重いものをみんな棄てると、風のように歩けるそうです。重いものはどんどん棄てます。棄てるとはいっても、仲間は必要です。人間は、ひとりでいるとけっして良くありません。一人で仕事をするというのは、特に良くありません。何かを成就しようとするならば、他人の協力と刺激が必要なのです。

◆仲間の協力は大切ですが、やる前に誰も反対しない場合には、けっして結論を出してはなりません。勇気と勉強に不足があれば反対論は出ない、ということを忘れずにいたいと思います。
そんな中でリーダーが勇気ある決断をしなければ、どんな事業も成功しません。

◆私たちは何ができるのかで自己評価し、他人からは、何ができたかで評価されます。評価のギャップがそこにあるので、気をつけたいものです。
何を知っているか、ということはほとんど評価されません。「お前は聞きかじった人の言葉をお経みたいに唱えすぎる。少しは自分の頭で考えるよう努力してみろ。自分の考えを言うようにしろ」と言われたりします。

◆問題が起きて立ち止まったとしても「行き詰まりは展開の一歩である」と考えます。
そんなときは何をやるのかを決めようとせず、その逆に、何をやらないかを考えるようにします。
もし、私に好機が到来していなければ、みずから好機をつくる努力をします。
そしてあとは、60点主義で即決するだけ。決断はタイムリーでなければなりません。決めるべきときに決めないのは度し難い失敗です。

◆人間はみな弱いものです。自分が弱い人間だとわかっていますから、退路を断つことも、ときには必要になります。そういう決意で、自分が踏み込んでいくことも大事なことになるわけです。

君子は機を見てたち、日を終うるを俟たず。

「最初の一歩を踏み出しなさい。階段全体を見る必要はありません。ただ、最初の一段を上ればいいのです。子育てを覚えてから嫁に行く女性がいるものですか」と、いわれたりもします。
永いこと考え込んでいる人が、いつも最善のものを選ぶわけでもありません。誰もあら探しができないほど最高の出来栄えになるまで待っていれば、何ひとつできないものです。

◆ですから優先順位を決めるうえで大切なことは、分析ではなく勇気だ、ということになります。
私たちは物事を後回しにするほど暇もありませんし、私たちは私たちの手で見いだした“この道”を駆け抜けて進むのみです。
アイデアは温めれば温めるほど実行されなくなるものですから注意しなければなりません。

◆私に欠けているのは、私は今、何をすべきかについて、私自身の決心がつかないことです。私の使命を理解できないことです。客観的な真理など探してみたところで、それが私にとって何の役に立つのでしょうか。私に欠けているのは、本当に人間らしく生きることであり、あれこれ考えながらの生涯を送ることでもありません。すでにサイコロは投げられたのです。あとは、ルビコン河を渡るのです。

◆この道は私を戦いに導いています。もう、たじろぐこともできません。現実という壁の前に立ったとき、いたずらに壁の厚さのみを測ることはしません。実行する前に言い訳を考えたりもしません。とにかく壁に果敢に体当たりしてみます。鋼鉄と思っていた壁が、実はボール紙であるかもしれません。たとえ鋼鉄であっても、ダイナマイトで爆破すればいいのです。

◆事を遂げるために、私は一貫して愚直でありたいと思います。才走ってはうまくいかないものです。
作戦計画を立てることは誰にでもできます。しかし実際に戦争をすることのできるひとは少ないものです。“どうにかなる”という考えではなく、“どうなるか”を研究し、“どうするか”の計画を立てて実行するのです。
決心する前に、完全に見通しをつけようとする人は、決心することすらできません。

◆どの種の困難であれ、これを乗り越えていく最大の武器は“誠意”ということになります。誠意によく似た言葉に「正直」、「誠実」というのがあります。「正直」とは真実を語ることであり、つまり言葉を現実に合わせることです。それに対して、「誠実」とは、現実を言葉に合わせることです。つまり約束を守り、期待に応えることなのです。そこで自ずと、重要なのは意志決定ではなく、リザルト(結果)の方であるということになります。

◆最後に
「努力はその時の情勢に必要な効力を生んで初めて努力として認められる。努力したが結果は駄目だったでは、努力したことにならない。仕事の中に能力を活用しなかったり、方法を選ばなかったら、それは徒労という一種の道楽に終わる」

これは本田宗一郎氏の手厳しい名言ですが、経営者の姿勢として肝に銘じていきます。

—————————————————————-

●恐れ入りました。吉岡さん、ありがとうございました。