●秋に入って楽しみな映画が続々と封切りされる。
今月は「孫文-100年先を見た男」が、10月には「ヴィヨンの妻」「沈まぬ太陽」が、11月には「ゼロの焦点」が待っている。
昔は夏休みとお正月休みぐらいしか観たい映画がなかったが、最近は一年を通して映画から目がはなせない。
●イギリスの哲学者・ベーコンは、「読書は充実した人間をつくり、書くことは正確な人間をつくる」というが、私はそれに「映画は豊かな人間をつくる」と書き加えたい。
つまり、
「映画は豊かな人間を、読書は充実した人間をつくり、書くことは正確な人間をつくる」となる。いかがだろうか。
●映画を観るだけですべて満たされるわけではなく、やっぱり読書が一番好きだ。
一本の映画のおかげで人生が変わった、という話はあまり聞かないが一冊の本で人生が変わった人は無数に見聞きしてきた。
だから、映画やDVDなどがどれだけ発展しても、読書の代わりになるわけではないと思う
●さて昨日号では、森信三氏の『教師のための一日一語』(寺田一清 編、致知出版社)の中から「読書」の話題をご紹介した。
「教師は本を読まなくなったら死んだも同じ」と森氏は手厳しい。
★『教師のための一日一語』 http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2154
●私は、教師だけでなく、経営者も政治家ももっと本を読もうと申し上げたい。特に中小企業の経営者とは毎日のようにたくさん接しているが、読書量の乏しさにあ然とすることがある。
日本の国際競争力が落ちている根底には、経営人材の読書不足が原因なのではないかと思うほどである。
・経営者はもっと本を読もう
・経営者になろうと思う人は、読書の習慣を身につけよう
●学生じゃあるまいし、読むべき本が分からないから教えてほしいというようでは情けない。そのあたり、森信三氏はこう語る。
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読書の秘訣といっても、結局は書物を選択する「眼力」を養い、これを築き上げ、鍛え上げる外にないと思います。どこか2~3カ所ページを開いてみて、1ページに一箇所くらい心にひびく処のないような書物は、「われわれにとっては無縁の書」と決めても大した間違いはない。
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●さらに『修身教授録』(森信三著、致知出版社)にはこんな箇所もある。
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こういう次第ですから、読書はわれわれの生活中、最も重要なるものの一つであり、ある意味では、人間生活は読書がその半ばを占むべきだとさえ言えましょう。しかし人々の多くは、この点に気づかないようであります。というのも結局は、その人の生命力が真に強靱ではないからでしょう。つまり言い換えれば、人間がお目出たくてお人好しで、たいした志も持たないからだと言えましょう。
ですからその人にして、いやしくも真に大志を抱く限り、そしてそれを実現しようとする以上、何よりもまず偉人や先哲の歩まれた足跡と、そこにこもる思想信念のほどとを伺わざる得ないでしょう。
すなわち自分の抱いている志を、一体どうしたら実現し得るかと、千々に思いをくだく結果、必然に偉大な先人たちの歩んだ足跡をたどって、その苦心の後を探ってみること以外に、その道のないことを知るのが常であります。
ですから真に志を抱く人は、昔から分陰を惜しんで書物をむさぼり読んだものであり、否、読まずにおれなかったのであります。
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★修身教授録 → http://e-comon.co.jp/pv.php?lid=2155
●秋だから申し上げる訳ではないが、社長はもっと本を読もう。
そして、「真に志を抱く者は分陰を惜しんで読書する」というくだり、肝に銘じておきたいものである。