●一票の力によって政権交代を実現した私たち。
それによって我が暮らしが良くなり、社会や国家がより良くなってほしいと願っている。では、社会や国家が良くなるとはどういうことなのか。
●いろんな要素があると思うが、一行で表現するなら、「安心して子供を産めて、安心して学校に子供の教育を託し、安心して社会に子供を送り出し、安心して好きな仕事に没頭でき、将来や老後に対する不安も少ないこと」ではないだろうか。
●すべてを政治家に託すつもりはないが、産・官・学がそれぞれベクトルを合わさない限り進まないことが多い。そのための指導力を発揮するのが政治家である。
●かつて、松下幸之助さんは「松下電器はなにをつくっている会社か」と問われたならば、人を作っている会社と答えてほしい、と語っていた。松下電器は人を作る会社であり、その人たちが電器製品も作っているのだと考えた。そして、それを実現すべく人づくりに力を入れ、社内研修だけでなくPHP活動や松下政経塾などにも活動範囲が及んだ。
●企業の目的が人づくりであるのと同じように、家庭でも学校でも国家でも「立派な人間、立派な学生、立派な国民」を作ることが本来の目的であるはず。
いつしか、立派であろうとすることが「つまらない」とか、「堅苦しい」とか「右翼っぽい」などと切って捨てられるようになってきたが、国を愛し、地域を愛し、母校を愛し、友を愛し、家族を愛し、地球を愛することに右派も左派もない。
●「国民教育者の師父」とも称される森信三(もり しんぞう)氏は、死後十数年を経たいまも、日本の教育界に大きな影響を与えている。
いや、そんな言い旧された表現では済まないだろう。
「人生二度なし」の哲理で生きた大先輩として、心ある人たちの師として今も現役で活躍されている方と考えるべきだろう。
●そんな森信三氏の教えを『教師のため一日一語』(寺田一清 編)として編さんした本がある。
致知出版社から出ているが、私も時には教師的位置に立つことから、折に触れて読み返すようにしている。
最近も読んで、今までとは別の箇所で思わず立ち止まってしまった。
●本を読まない社員や子供に対して輪読が一番だと森氏。では、どんな本が輪読にふさわしいか。
以下、引用。
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若い先生たちには、何よりもまず躰をひっさげて書物にぶつかって頂きたいと思うのであります。それには何といっても、自分の読みたくてたまらぬと思う書物を、一気に読むというやり方が、一番身につくのではないかと思います。
かくして読書の秘訣は、自分がどうしても読みたくて読みたくてたまらぬという書物を探し出し、これを突き止める以外にないと考えるのであります。
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読みたくてたまらない、という本をまず一冊見つけ、それを輪読してはどうか。
●「やる気が起きない」という社員や子供がいたなら、彼らは本を読んでいない証拠。そんなとき、もし指導者も本を読んでいないと何もアドバイスできない。
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私たちが自分の内的生命を、つねに打てばひびくような溌剌たる状態に保たんがためには、どうしても読書による外ないのであります。
少なくとも読書は、そのための最も便利な方法だと言ってよいでしょう。即ち人間は、少なくともわれわれ教師の場合には、その人が書物を読まなくなったら、もうその人は、精神的にすでに死んだ人と見なしてもよいということです。
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●しかし、読んでいる本を間違っているときにもやる気は低下する。
<明日につづく>